清宮、中村たち日本代表と戦うオランダは、U-18なのにプロがいる (4ページ目)

  • 阿佐智●文・写真 text&photo by Asa Satoshi

 ちなみに、フーフトクラッセはレギュラーシーズンの上位4チームがプレーオフに進出。プレーオフは、総当たりのリーグ戦形式で行なわれ、その上位2チームが決勝シリーズを争う。ある意味、プレーオフからがオランダの「プロ野球」ということになる。

 しかし、野球がマイナースポーツの域を出ないこの国では、トップクラブといえども取り巻く環境は厳しい。今年3月のWBCで代表入りし、現在はフーフトクラッセのアムステルダム・パイレーツでコーチを務めるロブ・コルデマンスはこう語る。

「日本と違って、オランダでは野球の人気がないからね。上位4チームは、基本的に選手に給料を支払っているプロ球団だが、それでも財政事情はカツカツさ。国内最大のビッグクラブと言われているウチでさえ、試合の入場料は取っていないからね。収入は、試合の際の観客の飲食代、アカデミーからの収益、それに大した額じゃないけどスポンサーからのものだけ。あとは、国からいくらか補助があるかな」

 だから、チャンスがある限り、選手たちは国外のプロリーグでのプレーを目指す。そういう彼らにとって、絶好のアピールの舞台となるのが国際大会だ。コルデマンス自身も、2006年の第1回WBCでのピッチングが目を引き、台湾プロ野球の名門、統一ライオンズとの契約を勝ち取った。

 今回、フーフトクラッセのプレーオフを2試合見たが、代表チームのメンバーがいる一方で、下位打線の頼りなさやリリーフ投手陣の弱さが目立つ。ただ、オランダは人口が少ない上、野球人気も低いという弱点を補うため、徹底したエリート主義がとられている。

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