清宮、中村たち日本代表と戦う
オランダは、U-18なのにプロがいる (5ページ目)
クラブチームには"幽霊部員"など存在しないし、年齢別、レベル別に分けられたチームには"万年補欠"もいない。そういう環境のなか、いい素材はアカデミーで英才教育を受ける。
それにプロ・アマの垣根がないため、若い世代の選手でもトップリーグであるフーフトクラッセでプレーする機会がある。
オランダ2番目の都市・ロッテルダムで行なわれたネプチューンズ対HCAW(ホンクバルクラブ・アレン・ウェールバール)の試合は、中盤以降、リーグ5連覇を目指すネプチューンズがビジターのHCAWを圧倒した。その試合中、地元のカメラマンがリリーフ陣のリードに四苦八苦するHCAWのキャッチャーを指さし、こう言った。
「アイツ、まだ18歳なんだ」
たしかに、マスクをとったその表情はまだあどけなさが残り、華奢な体つきも少年そのものだった。その彼が、プレーオフの大舞台でスタメンに名を連ねている。また、ショートを守っていた選手も17歳の少年だった。日本で言えば、クライマックス・シリーズや日本シリーズに高校生が出場するようなものだ。いい素材は大舞台でこそ伸びる――これ以上の英才教育はないだろう。
このふたりの少年、ディラン・コースター捕手とデラノ・テラッサ内野手は、現在カナダで開催されているU-18のワールドカップにオランダ代表として出場している。甲子園のスターたちが集結したU-18侍ジャパンだが、ライバルチームにはすでにプロと同じフィールドに立ってプレーしている選手もいるのだ。清宮幸太郎(早実)主将のもと、中村奨成(広陵)、安田尚憲(履正社)など今秋ドラフトの目玉選手を並べて悲願のワールドカップ優勝を目指す日本だが、簡単には勝たせてくれないだろう。
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