清宮、中村たち日本代表と戦う
オランダは、U-18なのにプロがいる (2ページ目)
オランダだけでなく、"野球不毛の地"と呼ばれるヨーロッパ各国代表選手のほとんどは、ラテンアメリカやカリブ地域出身者で占められている。大半のチームは大会のために選手が集められ、終われば解散だ。しかし、オランダは少しばかり事情が違う。
この地域で野球の才能を開花させた者はアメリカを目指すが、それが叶わなかった者、アメリカでチャンスをつかめなかった者は、オランダ本国のトップリーグ「フーフトクラッセ」でプレーを続け、国内リーグのレベル向上に貢献している。
マークウェルは37歳になる今シーズンも、フーフトクラッセの名門チーム、キュラソー・ネプチューンズでプレーしている。
実は、オランダの野球の歴史は古く、トップリーグ創設が1922年というから、日本のプロ野球より前にリーグが存在していた。第2次世界大戦後にはヨーロッパ最強の地位を確立し、以後、イタリアと覇権を争うことになるが、世界の強豪への階段を登り始めるのは1990年代になってからである。
当時、オランダ領アンティル諸島と呼ばれていたカリブの海外領からヘンスリー・ミューレンス(日本での登録名はミューレン)やアンドリュー・ジョーンズといったメジャーリーガーが生まれたことによって、野球熱に火がついた。やがて、マークウェルのようにアメリカで夢破れた者が、本国に渡って現役を続けるケースが多くなり、カリブの野球とオランダの野球が融合した新たなスタイルが確立され、レベルも飛躍的に向上した。
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