対戦相手たちが見た「BIG3」。
彼らの凄みとは何なのか?

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 3回までに3安打を放ち、4回裏には5番打者の佐渡敬斗がレフトスタンドに飛び込むホームランを放った。佐渡は秋田大会で打率.071(14打数1安打)と絶不調にあえいでいた打者である。打った球種はやはりストレートだった。佐渡は高橋のボールについて、こう証言する。

「初球に外のストレートを投げてくるなと思っていたので、そこを狙っていきました。最初の打席は速いと思って差し込まれていたんですけど、2打席目からは目が慣れてきて、芯で捉えることができました」

 高橋のボールに埼玉大会ほどの勢いがなかったという要因もあるにせよ、徹底したストレート狙いによって、大曲工は高橋に10安打を浴びせた。得点は1点にとどまったが、なぜ、これほど打つことができたのか。この試合前、大曲工の主将・高橋陽喬に「速球対策」について聞いていたのだが、こんな答えが返ってきた。

「速いボールを打って速球対策をしても、それでスイングが崩れたらしょうがない。それなら自分のスイングでしっかり捉えたほうがいいと思います」

 大曲工の選手たちは逸材を相手にしても「自分のスイング」を貫き、健闘を見せたのだった。ただし、ストレートを中心に打ち込んだとはいえ、11もの三振を喫した。佐渡は2安打を立て続けに放って迎えた4打席目では、三振に打ち取られている。

「真ん中の真っすぐだと思って振ったら、ボールが消えました」(佐渡)

 佐渡が空振りしたのは、高橋のウイニングショットであるフォークだ。このフォーク、スライダーのコンビネーションにはまると、せっかく捉えていたはずのストレートがより速く感じられた。高橋は要所を粘り強く抑え、1失点で完投勝利を挙げた。

 それぞれに持ち味を発揮したBIG3の初戦。そして、前述したように早くも寺島と藤平の2人が激突することになった。さらには、岡山大会で最速154キロをマークした高田萌生(創志学園)など、彼らに肩を並べるような存在も今後登場してくる。

 今夏の甲子園は、まだまだ始まったばかりだ。

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