対戦相手たちが見た「BIG3」。
彼らの凄みとは何なのか? (2ページ目)
5番・一塁手の森大祐は寺島に対して3打数無安打2三振。しかも三振は2つとも見逃し三振だった。外角のストライクゾーンぎりぎりにコントロールされたストレートに、森の体は硬直した。
「手が出ませんでした。想定していたよりもずっといいボールでしたし、『ここは大事だぞ』というところで力を入れて決めにくる。自分たちの力が及ばず、途中からは寺島くんに気持ちよく投げさせてしまいました」
マウンドでの威圧感に精密なコントロール。高川学園の持ち味を封じた、寺島の甲子園デビュー戦だった。
8月9日の大会3日目に登場したのは、最速152キロをマークする右腕・藤平尚真(横浜・神奈川)だ。履正社と並び優勝候補の双璧と見られている横浜が、名門・東北(宮城)と対戦する好カード。この日も4万1000人の大観衆がその投球を見つめた。
最速152キロ右腕の横浜・藤平尚真 藤平が初球を投じると、スコアボードには「147km/h」の球速表示が灯り、場内からは「オォ~......」と、どよめきが起きた。数字もさることながら、ボール自体の勢い、強さはスタンドから見ていても伝わってきた。
この時、打席に入っていたのは1年生ながら東北のリードオフマンを務める杉沢龍だ。
「高校に入ってから、今までのピッチャーはボールの回転が見えていて打ちやすかったんです。でも藤平さんのボールは回転数が多くて、急に迫ってくる感じ。球威もあったし、今まで対戦したことのないピッチャーでした」
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