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この夏は履正社・寺島成輝「必殺・空振りストレート」に注目 (2ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 好投しながらも、1試合のなかでほんの一瞬、エアポケットにはまったかのようにつかまる場面がある。打たれるはずもない打者にヒットを許してしまうことが何度かあった。この隙はなんなのか。常に平常心を保ち、心の揺れをなくすために、普段の生活から「怒らない」と誓いを立てて過ごしたこともあった。

 一方で、投手としてこだわったのはストレートだ。

「圧倒できるピッチングをしたい」

 昨年の秋以降、くり返してきた言葉はストレートのレベルアップを意味していた。秋までの寺島には、ファウルをよく打たれる投手という印象が強くあった。寺島にそのことを向けると、「ファウルを打たれるのは、自分ではいいことだと思っています」と返してきたこともある。もちろん、カウントを稼ぐためのファウルはそうだろう。しかし、決めにいったときもファウルにされることが多かった。

 球速は昨年の時点で、最速148キロまで出ていたが、フォームの力感とボールの到達イメージが打者には一致しやすいタイプに思えた。決めにいくときは「さあ、ストレート!」と力んだ感じのテイクバックから腕を振る。こういうときのボールは、初速と終速の差が大きく、打者の手元ではそれほどボールがきていないケースが多い。力みからくる上体の開きの早さも、球を見やすくし、ファウルが増え、球数の多さにつながっていったのだろう。

 本人もストレートの球質アップは常に課題として頭にあり、昨年の秋はフォームの修正に取り組んだ。ゆったりした始動からテイクバックで無駄な力を抜き、リリースで力を集中する。

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