この夏は履正社・寺島成輝「必殺・空振りストレート」に注目

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

「甲子園では磨いてきた真っ直ぐが強力な相手にどれだけ通じるか、試したいです」

 履正社のエース・寺島成輝は、この夏4試合目の先発となった大阪大会決勝で金光大阪打線を3安打、12奪三振に抑えると、ようやくたどり着ける憧れのマウンドへ思いを馳せた。8割以上をストレートで押した前回登板(5回戦の大体大浪商戦)とは違い、曲がり幅の小さなスライダーを効果的に混ぜながらのシャットアウトだった。

はじめて甲子園の舞台に立つ履正社のエース・寺島成輝はじめて甲子園の舞台に立つ履正社のエース・寺島成輝 生まれは大阪だが2歳から9歳までは東京で過ごした。小学2年の夏休みに兵庫に住む祖父の家を訪ねたとき、初めて甲子園で高校野球を見た。ネット裏から目を奪われたのは、早稲田実のエース・斎藤佑樹のマウンドだった。

「あの雰囲気のなかでも淡々と投げている姿が、すごく格好いいと思ったんです」

 いずれは自分も......と思ったマウンドにたどり着くには、少々時間がかかった。小学4年に大阪へ戻り、中学3年のときはボーイズリーグ日本代表のエースとして世界大会優勝の立役者になった。

「寺島が進む学校が甲子園」

 多くの学校から誘いがある中、寺島が選んだのは履正社だった。だが入学直後こそ、履正社はセンバツ準優勝を果たしたものの、以降、今春まで4季続けて甲子園から遠ざかっていた。

 1年夏から登板し、秋から主戦となった寺島にとってはなんとも皮肉な結果となった。1年夏、2年夏、2年秋とも大阪桐蔭に敗れるなど、勝ち切れなかった。特に昨年秋は、中学時代から戦ってきた大阪桐蔭・高山優希との投げ合いに敗れ(1対2)、勝てば近畿大会出場につながった3位決定戦でも阪南大高に0対1と惜敗。センバツへの道を断たれた。

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