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この夏は履正社・寺島成輝「必殺・空振りストレート」に注目 (4ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 ともにコールド勝ちだった初戦の関大一戦と2回戦の汎愛戦に先発したあと、間隔をとって臨んだ5回戦の大体大浪商戦。ここで見せたボールが明らかに1、2回戦のものとは違っていたのだ。

 相手は前年夏の準優勝校、しかもエースはプロ注目の西田光汰。気持ちを集中させて投げた結果、3安打、13奪三振、2四球での完封勝ちだった。なにより成長を示したのが13奪三振の中味だ。13個のうちスライダーの見逃し三振ひとつを除き、決め球はすべてストレートで、うち7つが空振り。つい2カ月前、空振りをとることに苦労していた寺島とは別人だった。

 ゆったりとしたフォームから打者の手元で勢いを失わなかったストレートに「狙われても空振りを取れる、自分の目指してきたボールです」と振り返った。

 そこで「これまでで一番?」と聞くと、「いえ、この夏一番です。これまでの一番は、やっぱり近畿大会の智弁戦です」と言う。女房役の井町体生も「僕もやっぱり智弁戦です。センバツ優勝校が相手というので気持ちが前面に出て、本当に強い真っすぐが思い通りに投げられていましたから」と言って、こう続けた

「秋以降、狙って空振りが取れる真っすぐをテーマにして、体を鍛え、フォームも考え、今年になって明らかに真っすぐが変わりました。回転数が上がって、低めからでも伸びるようになった。特に右打者のヒザ元にしっかり指にかかった球がいくようになりました」

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