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大阪桐蔭×履正社。ライバル対決の命運を分けた「経験力の差」

  • 柳川悠二⚫︎文 text by Yanagawa Yuji
  • photo by Kyodo News

 往年の浪商(現・大体大浪商)やPL学園でもなしえなかった大会4連覇を狙う王者・大阪桐蔭と、5年ぶりの夏出場を目指す履正社。全国で唯一、シード制を敷かない大阪大会で、ともに初戦となる2回戦で実現したライバル校対決。

履正社を5−1で下し、3回戦に進出した大阪桐蔭ナイン履正社を5−1で下し、3回戦に進出した大阪桐蔭ナイン

 会場となった舞洲(まいしま)スタジアムに最寄りの桜島駅には、バスを待つ人が長蛇の列を作っていた。会場周辺の道路は大渋滞が起き、桜島駅から約7キロ離れたスタジアムに到着するまで、タクシーで2時間かかった報道陣もいたほどだった。

 スタンドは高校野球ファン1万3000人で膨れ上がり(満員札止め)、上空を飛ぶ報道ヘリが決戦ムードをあおる中、1回表のマウンドに上がった履正社の先発投手は−−。

 1年秋からエース番号を背負い、2014年選抜の小山台(東京)戦で9回一死まで無安打ピッチングを続けた溝田悠人ではなく、MAX149キロを誇る快速右腕・永谷暢章でもなく、2年生のサウスポー、寺島成輝だった。

「(3人の中で)調子が一番良かった。先発は今日告げました」

 履正社の岡田龍生監督はそう振り返った。しかし、昨年夏の準決勝の大阪桐蔭戦で、途中から登板して8回1失点で抑えた寺島の先発は、指揮官の秘めた策としてずっとあったように思えてならない。

 今年の春季大会、準決勝で大阪桐蔭と対した時、岡田監督はエース格に成長していた寺島に登板機会を与えなかった。夏の対戦をにらみ、あえて大阪桐蔭の各打者の目を慣れさせる必要はないと考えたのではないか。

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