2015.07.25

通算打率5割超え。清宮幸太郎が見せる「咄嗟の反応力」

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Nagase Yuya/PHOTO KISHIMOTO.

 夏の甲子園をかけた地方大会は次々と出場校が名乗りを上げ、大きな盛り上がりを見せている。そんな中、ひと際高い注目を集めているのが、早稲田実業高の清宮幸太郎だ。「この夏の話題をこの1年生にひとり占めされていいのか。全国の上級生たち、もっとしっかりしろ!」とゲキを飛ばしたくなるほど、”清宮幸太郎の夏”になっている。

決勝までの5試合で5割を超す高打率を残している早稲田実業の清宮幸太郎

 どこかでその騒ぎが負担になって、プレイに変な影響を与えなければいいが……と思いながら見てきたが、相変わらずよく打つ。

 ここまで西東京大会の5試合すべてに安打を放ち、16打数9安打(打率.563)9打点。期待の本塁打こそ出ていないが、放った9本のヒットのうち5本が長打と、スラッガーぶりを発揮している。

 こんなに騒がれても変わらない。むしろ、観客というより、世間の視線が集まっていることを心地よく感じ、その狂騒をエネルギーとしてますます大きく育っているような気がしてならない。実に、たいした1年生だ。

 この春から清宮を見てきたが、彼は決してボールを遠くに飛ばすだけの”力持ち”ではない。この夏、どこまで勝ち進むのかわからないが、清宮のバッティングを見る時は、彼の”咄嗟(とっさ)の反応”に注目してもらいたい。

 たとえば、7月23日に行なわれた準々決勝の八王子戦。内野ゴロ2つと死球のあとの4打席目。外角のショートバウンドになりそうなスライダーをセンター前に持っていった一打は、右手一本で拾い、手首を返さずにバットのヘッドだけを走らせた。手首を返していたら、おそらくファウルか一塁ゴロになっていただろう。それを、手首を返さずに打てる反応力の高さ。春の都大会でも同じようなボールをパンチショットのように叩いて、痛烈に三遊間を破ってみせた。