【高校野球】この夏、秘かに注目を集める「8人の強打者」
甲子園で見てみたい全国の逸材たち~野手編
昨日のコラムでこの夏、甲子園で見てみたい投手に触れたが、今回は注目の打者を紹介したい。
攻守に軽快な動きを見せる山口・宇部商業高の宮崎佑太
まず、今年の北海道には"右のスラッガー"が3人いる。北見北斗高の浅井岳(3年/179センチ83キロ/右投右打)、北照高の佐々木斗夢(3年/181センチ78キロ/右投右打)、札幌大谷高の岡本凛典(3年/180センチ83キロ/右投右打)だ。いずれも屈強そうな体躯をした三塁手である。その中でも、特に注目したいのが岡本だ。
名前は<りんでん>と読む。カナダのアイスホッケーの名選手にあやかって、親御さんが名付けたと聞いた。確かに、アイスホッケーのユニフォームを着てリンクに立っても似合いそうな体つきをしている。おそらく、胸囲はゆうに1メートルを超えているだろう。
昨年の今頃、最初に彼の名前を耳にした時は本格派投手と聞いていた。それがこの春、北海道大会で見た時は三塁を守り、4番を打っていた。ウェイティングサークルでの素振りを見たのだが、これが素晴らしかった。間違いなく、いちばん力の入るポイントを理解してスイングしている。なによりスイングする姿勢が美しい。スイングスピードも抜群で、「これは当たったらスタンドインだな......」と思っていたら、案の定、初球をレフトスタンドに弾丸ライナーで叩き込んでみせた。
岡本のように自分の最も力の入るポイントをわかっている打者は意外と少ない。スイングの形と理論に気を取られるせいなのか、この"当たり前"みたいなことをスルーしてしまっている打者が多いのが、今の高校野球の現実だ。
だが岡本は、いちばん力の入るポイントでボールを叩けて、しかも高校生離れしたパワーがあるから、驚くようなすごい打球が外野に飛んでいく。緩急で勝負された時にまだ脆(もろ)さはあるが、下半身に粘りが出てくれば、それも解決できるだろう。
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