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【自転車】片山右京「ミーティングを英語で統一した理由」 (3ページ目)

  • 西村章●構成・文 text by Nishimura Akira  TOBI●写真 photo by TOBI

片山 SuperGTでは「GOODSMILE RACING & TeamUKYO」というチーム名だけど、自転車の場合もたとえば、「TeamUKYO with InterMax(※)」という名称にすると、「おぉ、あの今中大介と一緒にやっているのか」と信頼してもらえるかもしれない。そうしたら、「そうだよ。俺たちはアロンソよりもずっと真剣にやっているんだよ」なんて話もできるかもしれない。

※InterMax=今中大介が現役引退後に設立した自転車専門商社「株式会社インターマックス」のブランド名。

 そうやって世界に目を向けると、僕たちはまだその土俵にも上がっていないけれど、小さな事項から壮大な計画まで、やるべきことは本当にいっぱいある。たとえば、小さなことで言うなら、TeamUKYOのミーティングは今、全員英語なんですよ。

今中 へえ、そうなんですか。

片山 「外国人選手がいるから」という理由もあるんですけど。四輪のレース現場では、ミーティングが全部英語なんて当たり前だから、自転車のほうでもなるべく英語になっている。そうやって自然に英語でコミュニケーションができるようになると、外国人のマネージャーが入ってきても普通に対応できるし、やがてヨーロッパのレースに出るようになって、向こうに拠点を作れば、そことも行き来ができるようになる。そういったインフラができれば、またひとつ上のステージに進むことができる。目には見えないけれども、そんな地道な活動の繰り返しです。

 今はみんなが少しずつ、TeamUKYOを知ってくれ始めていて、ヨーロッパでもクラシックの少し下のレースや、アジアのレベルの高いレースなどから声を掛けていただけるようになりつつあるんです。そのためにも、ヨーロッパに拠点を持っておくことは大事だし、そこでプロコンチネンタルの登録ができれば、自分たちはもう一歩ステージを上がることができるはずだと思うんですよ。

今中 どちらかというと、それが先だよね。まず、自分たちが戦える場所を確保すること、そしてプロコンチネンタル登録できるチームになることが先決。

片山 そのためにはハードルがいくつもあって、その一番は財政面。でも、そこは銀行ともしっかりと相談しながら、紙の上の作業を粛々(しゅくしゅく)と進めていけば、なんとかなるはずだと考えています。そのための一環として、自転車やジャージなどの制作販売を開始する予定で、モノによっては今中さんのビジネスマーケットに入っていく商品もあるかもしれないけど、そこで誤解してほしくないのは、「決してカネのために友だちを裏切っているわけではない」ということ。これは、今中さんには分かってほしい(笑)。僕たちの狙いは、あくまでともに目標を達成することであって、制作販売はそのための手段なんですよ。

今中 そんなこと、分かってるって(笑)。


(次回に続く)

著者プロフィール

  • 片山右京

    片山右京 (かたやま・うきょう)

    1963年5月29日生まれ、神奈川県相模原市出身。1983年にFJ1600シリーズでレースデビューを果たし、1985年には全日本F3にステップアップ。1991年に全日本F3000シリーズチャンピオンとなる。その実績が認められて1992年、ラルースチームから日本人3人目のF1レギュラードライバーとして参戦。1993年にはティレルに移籍し、1994年の開幕戦ブラジルGPで5位に入賞して初ポイントを獲得。F1では1997年まで活動し、その後、ル・マン24時間耐久レースなどに参戦。一方、登山は幼いころから勤しんでおり、F1引退後はライフワークとして活動。キリマンジャロなど世界の名だたる山を登頂している。自転車はロードレースの選手として参加し始め、現在は自身の運営する「TeamUKYO」でチーム監督を務めている。

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