【自転車】片山右京「ミーティングを英語で統一した理由」 (2ページ目)

  • 西村章●構成・文 text by Nishimura Akira  TOBI●写真 photo by TOBI

今中 たしかに、昔と違ってネット社会になった今、右京さんはSuperGTでも初音ミクとコラボレーションしていますよね(※)。だからそのパワーを、身をもってものすごく感じているんだと思う。おそらく、何かやりようはあるんだろうな、という気がします。

※TeamUKYOレーシングチームは2011年より自動車レースのSuperGTに参戦。一部のファンに絶大な人気を誇るバーチャルアイドル「初音ミク」のイラストをレーシングカーのボディにあしらっている。

 でも、実際に選手たちがヨーロッパに行って戦うとなると、たとえば、旧東欧圏からやってきた選手たちは、「これで生きていくんだ!」と覚悟を決めているから必死になって頑張っている――という背景があるんですよ。彼らのああいう貪欲さ、がむしゃらさ、命がけの決意が、日本からもどんどん出てこないといけない。それを自分から出せる爆発力のある選手が、これまで何度も名前を挙げてきた新城(幸也/チームユーロップカー所属)君、別府(史之/トレック・ファクトリー・レーシング所属)君、土井(雪広/TeamUKYO所属)君たちです。彼らのレベルと、今の日本の差を穴埋めしてやるためには、見込みのありそうな子をどんどん放り込んでいけるチームを作るしかない......とも思うんですよね。

片山 そこで重要となる問題のひとつが、「欧州を拠点とするスカウトマンをどうしようか?」ということなんですよ。いきなりポッとやってきた日本のお客さんと、ヨーロッパの顔馴染みとでは、当然ながら対応も違うだろうから、今中さんが言ったように、しっかりと現地のコネクションと人間関係を築いていく作業もしていかなければならないですよね。それができれば、小さな一歩だけど進むと思う。でも、僕たちが本当に目指しているのは、日本の強い選手を育てることだから。そのためには、日本でやってきたことと同じことを、向こうでもとりあえず開始して、第一歩を踏みださなきゃいけない。

 そのとき、僕たちに唯一、アドバンテージがあるのは、「あぁ、あのカタヤマか。今は自転車もやっているのか」と言ってくれる場合もあるということなんです。それが会話のキッカケにもなる。「アロンソ? 彼も自転車チームを作りたがっているらしいけど、俺のほうがずっと本気だよ」みたいにね(笑)。

今中 かつて僕と一緒に走っていた選手で、現役時代に何勝か挙げて今はスイスでチームを結成している人物が監督としてツール・ド・フランスを目指しているんですが、その彼から、「カタヤマと一緒にやっているそうだね」と言われたことがあるんです。TeamUKYOのテクニカルアドバイザーとして僕の名前を入れていただいているおかげで、UCI(国際自転車競技連合)の公式サイトで検索すれば、すぐにそういうことも分かりますからね。

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