2015.01.26

【自転車】片山右京「日本人選手をエースに据える意味」

  • 西村章●構成・文 text by Nishimura Akira  TOBI●写真 photo by TOBI

遥かなるツール・ド・フランス ~片山右京とTeamUKYOの挑戦~
【連載・第41回】


 Jプロツアー参戦4年目となるTeamUKYOを率いる片山右京が、日本人初の近代ツール・ド・フランス参戦を果たした今中大介を招き、計4回にわたって語り合った対談も最終回。最後は、TeamUKYOの将来について語り尽くす。

(対談第1回、第2回、第3回はこちら)

選手の育成について意見を述べ合う今中大介(左)と片山右京(右)片山右京×今中大介対談 【第4回】

――日本人チームとして欧州に挑もうとする片山右京さんにとって、究極の目標は何ですか?

片山 究極の目標は、「日本人の強い選手をどうやって育てるか」ということです。

今中 『鶏が先か、卵が先か』の話じゃないけれど、結局、そこに尽きちゃうんだよね。

片山 ヨーロッパに行ってみたけど(レースをしたら)遅かった......なんて、本末転倒ですからね。

今中 本当に自ら進んで追い込むことのできる選手じゃないと、強い選手には育たないですよね。ロードレースってものすごく苦しい競技で、何時間もその苦しみを味わい続けるから、どこかで妥協したくなるような人では、大成しない――。必要なのは、ガッツかな。

片山 ガッツって目に見えないからね。左胸にメーターでも付いていて、「ガッツ指数=9.8」とか光っていたら、誰にでも分かるんだけど。

今中 ガッツメーターね(笑)。たとえば、土井(雪広)君がTeamUKYOを強くしていったのと同じように、新城(幸也/チーム・ユーロップカー所属)君や別府(史之/トレック・ファクトリー・レーシング所属)君のような、本場の高いレベルを知っている人たちが周りにいて、彼らをお手本にすることで、若手が成長していけるような構図になればいいんですけどね。「自分たちは、ここまで行かなければいけないんだ」とか、「もうちょっと頑張ったら、もしかしたら少しは通用するようになるかも」というような、謙虚さと自信の両方を実感できる状況にならないといけない。

片山 選手って、どこで「化ける」かが分からないんですよね。自信がなくて、なかなか結果を残せなかった選手でも、何かの拍子で1回勝った瞬間に自信がついてガンガン行くから、どんどん強くなっていくことだってあるじゃないですか。

 僕はチームの代表として、ビジネスモデルを組み立てて選手たちを支える立場にはいるけれど、日々の練習の中で、「こいつは強くなりそうだな」とか、「ここをこうすればもっと成長するな」ということまでは分からない。そこはやはり、世界の頂点を経験している今中さんの目や、今も第一線の現役選手として走っている土井君からの視線じゃないと、判断できない部分だと思います。現実問題として、誰にでもたくさんチャンスをあげる――というわけにはいかないのが、難しいところです。