【自転車】片山右京「欧州スケジュールとTeamUKYOの現在地」

  • 西村章●構成・文 text by Nishimura Akira  photo by Getty Images

遥かなるツール・ド・フランス ~片山右京とTeamUKYOの挑戦~
【連載・第42回】

 サッカーではアジアカップ、そしてテニスでは全豪オープンと、様々なジャンルのスポーツが新シーズンを迎えた。自転車ロードレースの世界も、2015年シーズンはすでに幕を開けている。今年はどんなスケジュールとなっているのか、本場欧州のレース日程を紹介しながら、日本を本拠に戦うTeamUKYOの2015年シーズンについて触れる。

(前回コラムはこちら)

オーストラリアで行なわれたステージレース「ツアー・ダウンアンダー」オーストラリアで行なわれたステージレース「ツアー・ダウンアンダー」 日本ではまだまだ寒い日が続くが、サイクルロードレースの2015年シーズンはすでに始まっている。

 日本と正反対の気候となる南半球では、オーストラリアを舞台とするステージレース「ツアー・ダウンアンダー」が1月20日から25日まで行なわれた。このレースは毎年、UCIワールドツアーの開幕戦として行なわれることが通例で、初開催の1999年以来、地元出身のオーストラリア人選手が活躍するレースとしても知られている。さらに、シーズンインのレースということもあって、起伏の激しいステージは少なく、他のレースと比べればスプリンターに有利なレイアウトとも言われる。今年は、BMCレーシングチーム(アメリカ)に所属する24歳のロハン・デニス(オーストラリア)が優勝を飾った。

 このあと、次のワールドツアーレースまでは、約1ヶ月の期間が空く。その期間中に、プロツアーチームや有力プロコンチネンタルチームは、「ツアー・オブ・カタール」や「ツアー・オブ・オマーン」など中東で開催される有力ステージレース等に参戦しながら、最終的な調整と仕上げを行なうことが近年の潮流になっている。

 そして3月になると、いよいよ戦いの舞台はレースの本場ヨーロッパに移り、4月中下旬まで数々の歴史あるレースが毎週のように各地で開催される。

 その中でも、1日で雌雄を決するワンデーレースのうち、高い格式と伝統を持つものは『クラシック』と総称されており、これらのクラシックレースで優勝することを目標にシーズンを戦う選手たちは「クラシックハンター」とも呼ばれる。

 クラシックレースは、100年以上の歴史を持つものが多く、いずれもコースレイアウトや雰囲気が独特で、グランツールとはひと味違う興趣のレースとして、多くのファンから熱烈な支持を集めている。

 クラシックと呼ばれるための厳密な定義があるわけではないようだが、一般的には主に以下のレースがクラシックとして認識されている。今年のスケジュールは、次のとおりだ(カッコ内は開催初年度)。

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著者プロフィール

  • 片山右京

    片山右京 (かたやま・うきょう)

    1963年5月29日生まれ、神奈川県相模原市出身。1983年にFJ1600シリーズでレースデビューを果たし、1985年には全日本F3にステップアップ。1991年に全日本F3000シリーズチャンピオンとなる。その実績が認められて1992年、ラルースチームから日本人3人目のF1レギュラードライバーとして参戦。1993年にはティレルに移籍し、1994年の開幕戦ブラジルGPで5位に入賞して初ポイントを獲得。F1では1997年まで活動し、その後、ル・マン24時間耐久レースなどに参戦。一方、登山は幼いころから勤しんでおり、F1引退後はライフワークとして活動。キリマンジャロなど世界の名だたる山を登頂している。自転車はロードレースの選手として参加し始め、現在は自身の運営する「TeamUKYO」でチーム監督を務めている。

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