2015.01.12

【自転車】片山右京「日本人が海外挑戦しづらい要因とは」

  • 西村章●構成・文 text by Nishimura Akira
  • TOBI●写真 photo by TOBI

遥かなるツール・ド・フランス ~片山右京とTeamUKYOの挑戦~
【連載・第39回】

 日本人として初めて近代ツール・ド・フランスを走った経験を持つ今中大介氏は、自転車ロードレースの厳しさを知る貴重な人材だ。「ツール・ド・フランス参戦」を目標とするTeamUKYOの片山右京にとって、今中は欠かせない存在だと語る。4回にわたってお送りする『片山右京×今中大介対談』の第2回では、「日本と世界との差」について話が広がっていく。

(前回のコラムはこちら)
世界で戦うためにはどうすればいいのかを語る片山右京
片山右京×今中大介対談 【第2回】

――第1回の対談で、片山さんはチーム作りについて、「しっかりとした基盤を整えることが重要」と語っていました。新興チームで自転車ロードレース界に参戦しようと思ったときの考えを聞かせてもらえますか?

片山 新興チームが普通に参入しても、すぐに勝てるわけがない。だから、(アイデアを)ひとひねり入れなきゃいけないし、ひとりじゃなくてみんなでやれば、勝てる可能性は高まるかもしれないとも思いました。だけど、それもまた、やってみなきゃうまくいくかどうかなんて分からない。

今中 僕はヨーロッパのシステムばかりを見てきたのですが、たとえばトレック(・ファクトリー・レーシング/アメリカ)や、キャノンデール(・プロサイクリング/イタリア)のような大きな組織は、チームを持つ段階ですでに巨大な企業でした。その前提があるので、TeamUKYOがゼロからチームを始めていくのはすごく大変だろうなと思います。

片山 (チーム作りは)お金がないと何も始まらないんだけど、僕たちにはそれすらなくて、すべて同時進行でやっている状態ですからね。

今中 僕自身、現役を引退して会社(競技用自転車や関連パーツの輸出入・販売を行なう企業『株式会社インターマックス』)を立ち上げたときは、「選手あがりで本当に商売できるのか?」と疑われたところから始めました。ただ、まったく無知な状態で死に物狂いでやっているうちに、多少は周囲から信頼を得て、仕事のお付き合いをしてもらえるようになりました。そして、右京さんにも助けてもらえるようになった。

片山 いや、それはまったく逆でしょう。少なくとも今中さんがいなければ、僕は自転車の世界にいないわけだし(片山右京「僕が自転車にハマッたある人との出会い」参照)、うちのチームがツール・ド・フランスを目指す大きな理由のひとつである、「今中さんをもう一度、シャンゼリゼに連れていく」というテーマだって、全然揺るがない。今中さんは僕が知らないことの多くを全部見てきた人で、言葉ではオブラートに包んで優しく伝えてくれるけど、本当はいっぱい引き出しがある。だから今、僕たちにやってくれていることも、100パーセント全部、助けになっているんですよ。業界全体を変えるなんて、とても僕からはおこがましくて言えないけど、きっとみんなの利益になっていると思うし、いつかちゃんと恩返しができる日が来ると思います。