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【新車のツボ158】トヨタ・スープラ。
賛否両論クセ感ありのスポーツカー (2ページ目)

  • 佐野弘宗●取材・文・写真
  • text & photo by Sano Hiromune

 しかし、新型スープラはBMWがつくったスポーツカーにトヨタのバッジを貼りつけただけ......のクルマではない。企画のスタートからトヨタとBMWは対等で、BMWもトヨタがいなければこのクラスのスポーツカーから撤退していた可能性が高い。設計の実作業はBMWによるものだが、ホイールベースやトレッド、重心高、ボディ剛性、エンジンスペックの策定といった"クルマ設計の一丁目一番地"の段階からトヨタとBMWは激しい議論を展開。聞くところでは「トヨタ側の思想や主張のほうが、より本格的でトンがったものだった」らしい。新型スープラより先に発売されたBMWのZ4もこれまで以上の硬派でマニアックな走りがツボだが、そこにはスープラと共用する基本設計がトヨタ側の強力プッシュによってレベルアップした恩恵もあるようだ。

 そんな新型スープラだが、内外装のデザインや細部の味つけは、おたがいの不可侵領域として、トヨタはトヨタで独自で仕上げた。ときには好き嫌いが分かれる「クセがすごい」スタイリングも、あえて賛否両論を呼ぶための確信犯的なワザだろう。その古典的なロングノーズスタイルや、ランプ類をボディ中央に寄せる特徴的な配置は、歴代スープラの伝統を受け継ぐデザインのツボなんだとか。

 また、ボディのあちこちに冷却口(風のディテール)が散りばめられていながら、それらがダミー部品で埋められているところも、アンチトヨタ派は「ただの飾りかよ!?」と早合点してしまいがちだが、そうではない。

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