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【新車のツボ139】
ランドローバー・ディスカバリー、
頂点SUVと思えば、800万円でも爆安 (2ページ目)

  • 佐野弘宗●文 text by Sano Hiromune photo by JAGUAR LANDROVER JAPAN/Sano Hiromune

 ......とはいっても、ディスカバリーは最近ハヤリの軟弱系SUVなどでは、けっしてない。とにかく頑丈堅牢かつ質実剛健。運転席が相変わらずよじのぼるように高いのは、日常の乗降しやすさよりも、周囲を正確に見わたして、路面を踏み外して転げ落ちたりしないためだ。さらに、新型ディスカバリーは全車に高価なエアサスを標準装備するが、これもまた、乗車人数や荷物の大小にかかわらず理想的な車高をピタリと保つため......と、ディスカバリーはスミズミまで、機能や安全を突き詰めたツボだらけ。これもホンモノの証拠だ。

 それと同時に、私のようなシロートが舗装路で走らせると、その乗り心地はもうトロけそうなくらい快適で重厚。しかも、新型ディスカバリーにはマニア待望のディーゼルモデルが登場したのだが、そのV6ディーゼルは体感的にはガソリンエンジン以上の静けさである。

 ボディのオールアルミ化で先代より100kg以上軽くなった新型ディスカバリーだが、全高1.9mという見上げるような巨体であり、その絶対重量はまだ約2.5tもある。つまり、軽自動車3台分(!)のヘビー級。

 クルマは基本的に軽いほうが機動性でも燃費でも有利なのが道理だが、ゆったりじんわり走らせるときの静かさや乗り心地の面には、じつは重さが大きなメリットとなる。

 こうして絶対的な物理(=質量)で醸成される快適性は、ハイテク技術で作りだした静かさや乗り心地とは、明らかに一線を画す。なんというか、人間の五感にフィットしたシアワセで芳醇な味わいなのである。

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