「起業するために一番重要なことは?」成功を夢見る高校野球部生がシミュレーション (2ページ目)
【「起業本」はたくさん出ているが...】
奥野「鈴木君も由紀さんも勉強したね。起業するためには、お金や場所、事務機器、アイデア、技術、経験など、本当にいろいろな要素が必要になるし、やるべきこと、やってはいけないこともたくさんある。それは今、鈴木君と由紀さんが言ったとおりなんだ。
ただ、これらは皆、表面的に必要な要素を羅列しているだけにすぎないんだよ。
インターネットで『起業本』といったワードを入れて検索してごらん。『起業を考えた時に読む』といったタイトルの本がたくさん出てくるはずだよ。
それらの本の目次を見ると、『起業の準備』、『ビジネスプランの立て方』、『商品・サービスの作り方』、『値段の決め方』、『マーケティングの仕方』、『時間術』、『チームビルディング』など、似たような見出しが並んでいるんだけど、これをまねすれば起業が成功するようなら、きっと皆、成功しているはずだよね。
でも、起業して成功できる人間は、本当にごくわずか。ひと握りの人にすぎないんだ。起業を決意した人の多くは、たぶん今、言ったような起業の本に目を通しているはずなんだけど、それでも成功できないのはなぜなのだろう。
それは、これらの本には起業に成功するうえで絶対に必要な要素が欠けているからなんだ。ひょっとしたら、意図的に書いていないのかもしれない。そして、その欠けている要素にもしっかり触れている本があるんだ。
それは、もともとは起業家であり、現在はアンドリーセン・ホロウィッツというベンチャーキャピタルの共同創業者である、ベン・ホロウィッツが書いた『HARD THINGS 答えがない難問と困難にきみはどう立ち向かうか』(日経BP)。もし鈴木君や由紀さんが本当に起業を目指すなら、一読の価値ありだよ。
この本を読んで僕が思ったのは、起業するのに絶対に必要なものは『情熱』だということ。今どき、死に物狂いで何かに取り組むなんてことは、暑苦しくて敬遠されがちなんだけど、情熱がなかったら、起業は絶対に成功しないと思うんだ」
鈴木「『HARD THINGS』というぐらい」だから、困難なこと?」
由紀「どんなことが書いてあるのかしら」
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