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「起業するために一番重要なことは?」成功を夢見る高校野球部生がシミュレーション (3ページ目)

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

【何よりもまずは情熱がなければ】

奥野「すごい本だよ。最初からいきなり、起業とは『吐き気だ』、『不眠との戦いだ』などという言葉が何回も出てくるんだ。それはホロウィッツ自身が起業したことで経験したことなんだよ。

 起業して何度もHARD THINGS(困難な局面)に直面し、ようやく株式上場にこぎつけたと思ったらITバブルが崩壊して、株式を上場した時には6ドルだった株価が35セントまで値下がりし、大手の顧客を失い、優秀な社員が辞め、3度にわたって社員をレイオフしなければならないような事態に追い込まれた。

 それでもホロウィッツは『絶対に成功してみせる』という強い確信のもと、不眠不休でどうすればいいのかを考え抜き、最後にはヒューレット・パッカード社に、彼の会社を16億ドルで売却するまで成長させたんだよ。

 そのなかに書かれているフレーズで、僕が一番好きなのは次の下りかな。

『偉大になりたくないのなら、あなたは会社を立ち上げるべきではなかった』(『HARD THINGS 答えがない難問と困難にきみはどう立ち向かうか』)

 方向性など定まっていなくても、成功して、偉大になる、というものすごい情熱が何よりも必要だということが、この一文を通じて実感できるんだ。誰もがまねのできない高度な技術力とか、誰も思いついていないアイデアなども、起業するためには必要だけれども、それよりも何よりも、まずは情熱がなければ、起業での成功は絶対にない、と断言してもいいくらいだよ」

由紀「なんだか、起業するのが怖くなりそう」
鈴木「そうですね。そんなに努力して起業して失敗したら、コストがかかった分、無駄になっちゃいそう」

奥野「そこが起業して成功するかどうかの最初の分水嶺なのかもしれないね。本当に起業して成功したいと強い情熱を持って思っている人は、たぶん、起業するべきか、しないほうがいいのか、ということでは悩まないと思うんだ。きっと、悩む前に起業しているんだよ。

 もちろんコストはかかる。会社を立ち上げただけで税金も発生するからね。たとえば会社の税務を見てもらうのに、税理士と契約しなければならないし、契約すれば契約金が発生するんだけど、本当に起業したいという人は、そんなものはお構いなしだと思うよ。どれだけコストがかかろうとも、どんな困難が待ち受けていたとしても、やはり起業するものなんだ。それこそが情熱のなせる業とも言えるんだろうね。

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