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高校生のアルバイトの是非。「価格支配力」を持つためには何が必要か (3ページ目)

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

働くことはゲームに似ている

奥野「そのとおり。誰でもお金はほしいんだ。だから、1年後から働いて得られる時給3000円よりも、今すぐ働き始めて時給1000円を得るほうに目を奪われてしまいがちなんだけれども、これが大きな間違いなんだな。

 ちょっと考えればすぐにわかることだと思うんだけれども、目先の時給1000円に大勢の人が集まってくれば、そういう人たちを雇って働かせようとしている側からすれば、多少安い時給でもいいや、ってことになる。時給1000円で大勢人を雇えるとなったら、そのうち950円、900円というように、時給を下げられてしまうことだってあるかもしれないよね。

 でも、持っている人が少ない特殊なスキルを身につけていて、そのスキルを求める人が多ければ、これはもう無敵だよ。何しろ競争相手が少ないし、需要はいくらでもあるから、自分で時給を決められる。ちょっと専門的な言い方をすると、価格支配力を持つことができるんだ。

 これは投資にも一脈通じるところがあると思うな。他の会社がなかなか参入できない領域で高いシェアを握っている会社は、提供する製品・サービスの価格を自分でコントロールできる。つまり激しい価格競争に巻き込まれて、薄利多売に陥らずに済むから、業績が着実に伸びていくし、株価も上がっていく可能性が高いんだよ」

鈴木「あらかじめ決められた時給で働かされるのではなく、自分の武器を磨いて戦略的に働くってことですか」
由紀さん「なんだかロープレのゲームみたい」

奥野「そう思ったら、働くことも、今、勉強することも、少しは楽しく考えられるんじゃないかな。そう、働くってことはある意味、ゲーム的な側面があるのかもしれない。

 こんな言い方をすると『不謹慎だ』と怒る人もいそうだけど、自分というゲームの主人公がいて、さまざまな武器を獲得し、経験値を高めて、より強い敵をやっつける。それはビジネスや社会人生活全般に通じるところがあると思う。

 だから、飲食店で働くとしても、ただ社員から言われたとおりに働くのではなくて、『ここはこういうふうに改善してみてはどうでしょう』というように提案して、それが店舗を変えるきっかけになるような働き方をすれば、職業体験としては将来、きっと何かの役に立つと思うな。

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