高校生のアルバイトの是非。「価格支配力」を持つためには何が必要か
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前回は、集英高校の野球部顧問を務めながら、家庭科の授業で生徒たちに投資について教えている奥野一成先生から、アルバイトに絡めて、「なぜ日本の時給は上がらないのか」という話を聞いた3年生の野球部女子マネージャー・佐々木由紀と新入部員の野球小僧・鈴木一郎。とはいえ、実際に高校生がアルバイトをするとなった時、選択肢がそう多いわけではない。「時給が高いところを選ぶ」のは難しいだろう。
野球の次に「お金に興味がある」と公言する鈴木は納得がいかなかった。野球の練習を終えた3人のアルバイト談義は続く。
鈴木「だって、時給が安いからといって、働かなかったら、一銭にもならないじゃないですか。安いと思ったら、僕だったらもっと長い時間、働くことで収入を増やそうと思うだろうな」
由紀「野球をする時間がなくなっても?」
鈴木「それはちょっと......」
由紀「勉強する時間もとれないじゃない」
鈴木「......」
そもそも高校生のアルバイトの実態はどうなっているのか。SMBCコンシューマーファイナンスがこの夏、15~19歳の学生1000名を対象に行なった「10代の金銭感覚についての意識調査2022」と題したアンケート調査によると、高校生で「収入はお小遣いのみ」が 52.4%、「お小遣い以外の収入がある」が 28.9%だった。
ひと月あたりの収入額を聞いたところ、平均 は1万1813 円(1年前より1160円増加)。1カ月のアルバイト代は平均 6961 円(1年前より267円増加)だった。調査では、コロナ禍の2021年より社会活動が活発化して、アルバイトをする若者が増えていると分析している。また、フリマアプリで収入を得ている者も増えていた。
奥野「そもそも、鈴木君はなぜそんなにアルバイトに興味があるんだい?」
鈴木「いますぐ必要というわけではなくても、やっぱりお金はあったほうがいいし。だって働くって、絶対的にいいことなんじゃないですか? 働いちゃダメなの?」
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