鈴木聡美が競技を続けるなかで影響を受け続けている意外な人物「西川貴教さんに学ぶことは多い」 (4ページ目)
「私がいまも学生と1日に8000メートルとか1万メートルを泳いでいるのは、金藤さんの練習をやりきる姿勢を見ていたことと無関係ではありません。普通なら100メートルや200メートルがメインの選手が、そんなに泳ぐ必要はないと思っても、やっぱりあれを見せられたら、やるしかないですから」
――今後、スイマーとして目指したいことなどはありますか。
「一番はこれまでと変わらず自己記録の更新。また、最近は、昔に比べると社会人になっても競技を続ける選手は増えていますし、30歳を過ぎても現役の選手がポツポツと出てきています。もちろん、そこに私の影響がどれだけあるかはわかりません。ただ、後輩から『どんな練習をしているのか?』『どうやってモチベーションを保っているのか?』と質問されることはありますし、お悩み相談ではないですが、自分の体験談でよければ、伝えていければと思っています」
――最後にあらためて今後の具体的な目標などがあれば教えてください。
「一番はシンガポールの世界選手権に向けた選考会(日本選手権、25年3月20日~23日)ですね。そこで代表権を得なければ夏の大会には行けませんから。
50メートル、100メートル、200メートルとも狙っていますが、日程的には100メートルが最初にきます。最初の種目で失敗すると、徐々にプレッシャーがかかってくるもの。そう考えると、50メートルのスピードは自信がありますし、特に100メートルに向けてスプリント強化をしていけたらと思っています」
取材を終えると、鈴木は午後の練習に向かうと言う。
――今日はどれくらい泳ぐのですか?
鈴木は間髪を入れずに「どうですかね。練習前に聞いて、嫌だなって思うより、(監督に)求められたら『はい』ってやるだけですから。その日その日を頑張るだけです」と言って歩いていった。
そんな愚直さが、鈴木の強さを支えているのだろう。
【profile】
鈴木聡美(すずきさとみ)
1991年1月29日、福岡県生まれ。ミキハウス所属。山梨学院大学在学中の2012年ロンドン五輪で、女子平泳ぎの100メートルで銅メダル、200メートルで銀メダル、400メートルメドレーリレーで銅メダルと3個のメダルを獲得。2016年リオデジャネイロ五輪は100メートルで準決勝進出、400メートルメドレーリレー出場。2024年パリ五輪では100メートル準決勝進出、200メートル4位、400メートルメドレーリレー5位。
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