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まだ25%。メダル奪還へ日本シンクロがに挑むゾッとする猛練習 (3ページ目)

  • 松瀬 学●文 text by Matsuse Manabu  中村博之/PICSPORT●写真 photo by Nakamura Hiroyuki/PICSPORT

「昨年は全部、泳ぎ切れるかどうかという不安があったんですけど、世界選手権で全種目泳ぎ切れたのが自信になりました。体が万全の演技じゃなかったんですけど、“頑張る”という気持ちは出せたと思います」

 乾とデュエットを組む三井は「チームの成長」を強調する。

「ちょっとはステップアップできたかなと思います。ロンドンのように参加するだけのオリンピックではなく、リオはメダルを獲りにいくオリンピックとなる。課題はたくさん見つかりましたが、泳ぎ切ったという点では自信になりました」

 デュエットのFRのテーマは『風神・雷神(嵐のち晴れ)』である。出だしのスピード感、技の切れはあった。現在のチーム状況を天気に例えてもらえば、井村HCは苦笑しながらこう言った。

「晴れ間は見えているけど、雲は厚そうですね。ここは晴れるまで待つ場合じゃなくて、自分で風を吹かして(天気を)晴らさなければいけません」

 五輪本番まで約3カ月。メダル奪還をかけ、“のるかそるか”の大勝負がはじまる。メダルにかかる分厚い雲を吹き飛ばすためには、と聞けば、井村HCはこう、即答した。

「それはもう、練習あるのみです」

 ああ、ゾッとする。井村HCの頭にはメダル奪還の演技の完成図は描かれている。その習熟度を聞けば、「技術の完成度とか、スピンの足の切れとかなどでいったら、まだ2割5分くらい、25%です」と素っ気なかった。

 メダル奪還の演技まで、あと75%も足りないということか。五輪から逆算し、ある程度、井村HCの計算はできている。あとは選手たちが日々、猛練習で課題を克服し、それぞれのパーツをものにしていけるのかどうか。いわば時間との勝負となる。

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