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瀬戸大也金メダルも、日本男子水泳に必要な「リオ五輪戦略」 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 藤田孝夫/フォートキシモト●写真 photo by Fujita Takao/PHOTO KISHIMOTO

 ただ、最終日の400m個人メドレーでは意地を見せた。バタフライはこれまでと違って余裕のある泳ぎ。2位に0秒51差をつけてトップに立つと、背泳ぎではテイラー・クラリー(アメリカ)に逆転されたが、平泳ぎで抜き返し、大差をつけてそのまま逃げ切り、2分08秒50で連覇を果たしたのだ。

「もう一回200mバタフライをやりたいくらいですね」と笑う瀬戸は、「梅原コーチと水のキャッチや呼吸、掻きのタイミングなど、細かい基本的なところを見直して建て直せたのは自信になります。前の2レースはやっぱり、優勝すれば五輪が内定するということをすごく意識していた部分もあったので集中できなかったのかなとも思います。400m個人メドレーでは、今大会でできるベストパフォーマンスを出すことと、単純に周りの選手に勝ちたいという思いだけでやった。金をもぎ取りにいく経験もできたので、これからにつながると思います」と言って明るく笑った。

 自力で金メダルをもぎ取った価値は大きいのは間違いないが、先の2種目でも結果を出して気持ちが乗っていれば、萩野の自己記録の2分7秒台にも迫ることができたはず。そう考えるともったいない気がしてならない。

 また、男子の他のメダル候補は脆さを見せた。世界ランキングは200mが1位、100mは2位でともに優勝を狙えるという自信と、チームを引っ張るという義務感を持っていた背泳ぎの入江陵介は、泳ぎを仕上げきれずに大会に臨んでしまった。

「それでも金メダルを獲らなくては」と揺れる気持ちに、追い打ちをかけたのが最初の100mだった。予選で入江自身のタイムはまずまずだったが、ミッチェル・ラーキン(オーストラリア)がいきなり52秒50の自己ベストを出してランキング1位に躍り出た。準決勝ではラーキンだけでなく、カミル・ラクール(フランス)とマット・グレバース(アメリカ)が入江のシーズンベストを上回る52秒70と52秒73を出し、4位での決勝進出となった。

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