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瀬戸大也金メダルも、日本男子水泳に必要な「リオ五輪戦略」 (5ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 藤田孝夫/フォートキシモト●写真 photo by Fujita Takao/PHOTO KISHIMOTO

 指導する藤森善弘コーチは「やってきたことを思い出して、慌てずに自分の泳ぎをしなさいと話した。50mも本人は出るつもりはなかったが、200mのための50mだから28秒台前半でいい、といって泳がせた」と言う。

 その効果は6日の200m準決勝で出た。小関は前半から突っ込む自分のレースをして、150mでは2位を0秒98も引き離す。「最後は結構失速した」というが、2分08秒03の好記録で1位通過をした。

 このレースは彼自身が開き直っていた上に、他の選手を意識しなくてもいい1レーンだったという条件もあった。

 だが、決勝は4レーン。「準決勝と同じ感覚でいった」と本人は言うが、その泳ぎには硬さが見えた。最初の50mは準決勝より0秒31遅い28秒60で通過すると、準決勝ほどのリードは奪えず。それでも100mまでは先頭を守ったが、そこからはジワジワと追い上げられて150mでは4位に。結局5位に終わった。

 4月の日本選手権では今回のマルコ・コッホ(ドイツ)の優勝タイムに0秒01遅れるだけの2分07秒77を出しているだけに、その実力の高さは折り紙付きだが、大舞台では力んでしまう。「練習と同じように泳げば」というのは当たり前で、そういう場面で力んでしまう癖があるなら力んでしまうのを前提として、そこで何をどうすればいいのかという対策を考える必要性もあるだろう。

 平井伯昌(のりまさ)コーチは「大会中に建て直すのはすごく難しくてエネルギーも必要なこと。メンタルの部分が一番重要になるが、それは選手だけではなくコーチも一丸となってやらなければいけないものだと思う」と語った。大会中に泳ぎを修正するとしても、本当に些細な部分を指摘して選手に自信を持たせるくらいしかできない。

 だからこそリオ五輪のような大舞台で勝負するには、大会前の正確なライバルと自身の現状分析などを含む、あらゆることを想定した綿密な戦略が必要になってくる。

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