瀬戸大也金メダルも、日本男子水泳に必要な「リオ五輪戦略」

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 藤田孝夫/フォートキシモト●写真 photo by Fujita Takao/PHOTO KISHIMOTO

8月特集 リオ五輪まで1年、メダル候補の現在地(4)

 8月9日に閉幕した世界水泳選手権。メダル4個に終わった日本チームは、男女の明暗がくっきりと分かれた。

 4月の日本選手権で世界水泳の代表が決まった時点で勢いがあったのは男子だった。個人で派遣標準記録を突破して代表になったのは男子9名に対して女子は4名。代表権獲得種目も男子がのべ18種目だったのに対し、女子は6種目だった。

最後の種目400m個人メドレーで金メダルを獲得した瀬戸大也(中央)最後の種目400m個人メドレーで金メダルを獲得した瀬戸大也(中央) しかし、世界水泳の結果は、女子金メダル2個、銀メダル1個に対して、男子は金1個と、女子が活躍した。その理由のひとつは、個人4種目でメダルを狙っていたエースの萩野公介(東洋大)の右肘の骨折による欠場だ。本来なら初日の400m自由形でのメダル獲得でチームを波に乗せるところだったが、その役割を果たす者はいなかった。

 その萩野の欠場に影響されたのが、瀬戸大也(JSS毛呂山)だった。直前の世界ランキングは200mバタフライが1位で、200m個人メドレーと400m個人メドレーは萩野に続く2位。自他ともに認める優勝候補だった。

「大会前は調子も上がってきている状態だった」と梅原孝之コーチは言う。8月4日の200mバタフライ予選では1分55秒60の3番残りで「まずまずのタイム」と話していた。ところが、午後の準決勝ではタイムを上げたが、トップのラザロ・シェー(ハンガリー)に1秒42差をつけられただけでなく、坂井聖人(早大)にも遅れを取る5位通過。一気に暗雲が垂れ込めてきた。

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