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【マラソン】プロ転向した前日本記録保持者・鈴木健吾が語るロス五輪への思い「日の丸をつけて走りたいんです」 (3ページ目)

  • 佐藤俊●取材・文 text by Shun Sato

【現日本記録保持者・大迫傑とのトレーニング】

 ラストチャンスに賭けるべく、翌2024年の東京マラソンにも出場したが、パリ五輪の最後の切符を手にすることはできなかった。

MGC、そして、ファイナルチャレンジの東京マラソンを走りましたが、本当に清々しいほどダメで、自分の実力がよくわかりました。ケガがなければという思いもありましたが、シンプルに自分の力がなかったことが確認できた。イチから仕切り直して、もう1回じっくりつくり直していこう。そうして、もう一度オリンピックにチャレンジしようと思ったんです」

 その気持ちに素直に従ったのだろう。202510月、鈴木は富士通を退社し、プロランナーとしてリスタートを切った。マラソンだけに集中できる環境になり、自身の持っていた日本記録を1秒更新した大迫傑と一緒にトレーニングを行なう機会もあった。

「大迫さんからは、いろいろ学びました。例えば、高地で頑張りすぎてしまうと疲れが出て、ケガにつながってしまう。ケガをすると、積み上げてきたものが一気に崩れてしまうので、頑張るところと抜くところをうまく使い分けていくとか。競技者としては当たり前のことですが、僕はどうしても練習をやりすぎてしまうので(苦笑)。もちろん、刺激ももらいました。大迫さんは年齢に関係なく日本記録を更新したじゃないですか(※当時34歳)。その姿を見ていると年齢を言い訳にできませんし、まだ自分もできるんじゃないかという気持ちにさせてもらいました」

 今年3月の東京マラソンではその大迫と競り合い、2時間0609秒で日本人2位となり、来年のMGCの出場権を獲得した。2028年ロサンゼルス五輪は、鈴木にとってどういう位置付けになるのだろうか。

「一番の目標です。オリンピックに出ることが、今、自分がマラソンをやっていることの意味になっています。もちろん、出るだけじゃなく、活躍することを目指しています」

 ロス五輪マラソン代表の3つの椅子を争うライバルは強力だ。大迫以外にも、黒田朝日(GMOインターネットグループ)や吉田響(サンベルクス)といった勢いのある若手もいる。鈴木はこれからMGCに向けて強化を続けていくことになるが、その一環として高地トレーニングを極めていきたいという。

 コロナで走れなかった2022年の世界陸上前にも高地トレーニングを行なったが、疲労が色濃く残るなど、高地トレーニングからマラソン本番につなげる流れをうまくつくれなかった。その高地で今度こそ「より強い自分」をつくるつもりだ。

「高地トレーニングに限らず、練習をやりすぎてしまえば、ケガをしてしまう。次のMGCではちゃんと力を出しきれるようにしたいので、それまではあまり入れ込みすぎず、ゆとりを持って強化を進めていきたいですね。僕はやっぱり日の丸をつけて走りたいんです。世界陸上はコロナでダメでしたし、まだユニバでしか走ったことがない。日の丸をつけて走るのは僕にとって特別なこと。やっぱり、かっこいいですよね」

(終わり)

鈴木健吾(すずき・けんご)1995年生まれ、愛媛県宇和島市出身。宇和島東高3年時にインターハイ(1500m5000m)、全国高校駅伝に出場。神奈川大時代には箱根駅伝に4年連続出場を果たし、3年時に2区で区間賞を獲得した。2018年に実業団の富士通に入社後はトラック、駅伝、マラソンで活躍。2021年のびわ湖毎日マラソンで2時間0456秒の日本新記録(当時)で優勝。2022年には世界陸上オレゴン大会のマラソン代表となるも、現地で新型コロナウイルス陽性反応が出たため欠場。202510月に富士通を退社し、プロランナーに。今年3月の東京マラソンでは2時間0609秒で13位(日本人2位)となり、MGC(マラソングランドチャンピオンシップ/2028年ロサンゼルス五輪マラソン日本代表選考会、202710月3日開催)出場権を獲得した。

著者プロフィール

  • 佐藤俊

    佐藤俊 (さとう・しゅん)

    1963年北海道生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、出版社を経て1993年にフリーランスに転向。現在は陸上(駅伝)、サッカー、卓球などさまざまなスポーツや、伝統芸能など幅広い分野を取材し、雑誌、WEB、新聞などに寄稿している。「宮本恒靖 学ぶ人」(文藝春秋)、「箱根0区を駆ける者たち」(幻冬舎)、「箱根奪取」(集英社)、「箱根5区」(徳間書店)など著書多数。近著に「箱根2区」(徳間書店)。

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