【箱根駅伝2026】「5強」崩し期待の"たたき上げ軍団"創価大、榎木和貴監督の育成、強化へのこだわり
創価大・榎木和貴監督インタビュー 前編
2019年に監督に就任した榎木氏の指導のもと、創価大は着実に力をつけてきた photo by Murakami Shogo
青山学院大、駒澤大、國學院大、中央大、早稲田大の「5強」とも言われる今季の箱根駅伝。だが、その5強を向こうに回して「3位(以内)」を目標に掲げるのが、ここ数年、三大駅伝で安定した成績を残し、今年の出雲駅伝で3位に入った創価大だ。
率いるのは就任7年目の榎木和貴監督(51歳)。全2回のインタビューの前編では、これまで高校生のリクルートでは決して恵まれてきたとは言えないチームを、コツコツと着実に鍛え上げてきた指揮官に、創価大の育成、強化の強み、こだわりを聞いた。
【年4回の個人面談とグループ分けしての練習】
――榎木監督がチームづくりで重視していることは、どういうことでしょうか。
「まず選手とのコミュニケーションです。年4回の個人面談を行ない、春に立てた目標に対して、どうクリアしていくかを話し合い、確認しています。
コミュニケーションが大事だなと感じたのは、高校でも大学でも、選手に対して練習メニューの提示やタイム設定をするだけで終わっているチームが多いなと感じていたからです。それだと"やらされている感"が強くなってしまう。なぜ、この練習が必要なのかを理解したうえで取り組ませたいんです。(何も考えずに)ただ練習だけこなしていればよいということでは、なかなか伸びていきません」
――日々の練習メニューも、個々の選手のレベルや目標に合わせて異なるものを提示しているのですか。
「就任当初からしばらくは全体で(同じ)練習を進めていく感じだったのですが、(以前からコーチを務める)久保田(満)コーチに加えて、(2023年に)築舘(陽介)コーチが加わってからですね。久保田は私と同じ旭化成出身で、私の考えを理解し、同じ方向性で進めてくれます。築舘は私の就任1年目の時のキャプテン。当時、私が来てチームが変わったことで、箱根駅伝で戦うために何が必要であるかを理解し、今は選手と同じ目線で指導してくれています。
この頃からチームを大きく3つのグループに分け、個々をより深く見られるようになりました。さらに昨年4月に、旭化成で実業団のトップレベルの指導をされてきた川嶋(伸次)総監督が入られたことも大きいです。駒澤大における大八木弘明総監督の『Ggoat』のようなトップグループをつくり、選手をより高いレベルに引き上げることが可能になりました」
各グループへの選手の振り分けに関して、基本は持ちタイムなどレベルに応じてとなるが、目的別に分けるケースもある。例えば、「ハーフマラソンに出場する選手」「10000mに出る選手」「練習でしっかり整えていく段階の選手」といった具合だ。それぞれ担当コーチが指導し、コミュニケーションを取っていく。大きな試合がある選手、例えば小池莉希(3年)が今年7月の日本選手権に出場する際には、個別メニューをつくり、留学生をその練習パートナーにするなどの工夫をした。
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著者プロフィール
佐藤俊 (さとう・しゅん)
1963年北海道生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、出版社を経て1993年にフリーランスに転向。現在は陸上(駅伝)、サッカー、卓球などさまざまなスポーツや、伝統芸能など幅広い分野を取材し、雑誌、WEB、新聞などに寄稿している。「宮本恒靖 学ぶ人」(文藝春秋)、「箱根0区を駆ける者たち」(幻冬舎)、「箱根奪取」(集英社)、「箱根5区」(徳間書店)など著書多数。近著に「箱根2区」(徳間書店)。

