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中島佑気ジョセフが語る400m日本新記録の舞台裏 世界陸上1カ月半前は出場すら危うい「崖っぷち」だった (5ページ目)

  • 和田悟志●取材・文 text by Wada Satoshi

【戒めないといけない部分はある】

 世界陸上では、世界のトップスプリンターにも引けをとらない終盤の強さを見せつけた。その伏線は、実はこんなところにもあった。そしてそれが世界陸上での日本新記録、6位入賞という偉業へとつながっていった。

「ケガで出遅れたシーズンインから、たった2カ月でたどり着いた世界陸上。しかも地元開催っていうのも、また特別じゃないですか。たぶん自分のキャリアのなかではもう二度と(地元開催は)ないと思うので、そういった絶好の機会をしっかりモノにできたのは、めちゃくちゃうれしいです。そういった巡り合わせも含めて、自分はすごく恵まれている存在だなと思いました。

 ただ、やっぱりもう少し上へ行きたかったな、という思いがあります。いろんな方々が褒めてくださいますし、いろいろな方々が声をかけてくださって、それはすごく感謝しています。だけど、これだけ反響があるからこそ、自分のなかでは満足できない部分もある。そのギャップも感じていますね。

 選手としては貪欲に一番を目指さないといけない。自分のなかでしっかり戒めないといけない部分がある。そう思っています」

 周囲が「偉業」と言おうとも、中島はもう満足していない。さらなる高みを目指す、中島の挑戦は続いていく。

(つづく)

◆中島佑気ジョセフ・中編>>なぜ200mではなく「キツい400m」を選んだのか

◆中島佑気ジョセフ「私服」フォトギャラリー>>


【profile】
中島佑気(なかじま・ゆうき)ジョセフ
2002年3月30日生まれ、東京都立川市出身。小学生から陸上を始め、城西大附城西高を経て2021年に東洋大へ。2023年・2024年に日本選手権400m連覇。2024年パリオリンピックでは4×400mリレーに出場し、決勝でアジア新記録をマークする。2025年の世界陸上(東京)では400m予選で44秒44の日本新記録を樹立。決勝にも進出して6位入賞を果たし、1991年世界陸上の高野進(7位)を上回る日本人過去最高順位を残す。富士通所属。身長192cm。

著者プロフィール

  • 和田悟志

    和田悟志 (わだ・さとし)

    1980年生まれ、福島県出身。大学在学中から箱根駅伝のテレビ中継に選手情報というポジションで携わる。その後、出版社勤務を経てフリーランスに。陸上競技やDoスポーツとしてのランニングを中心に取材・執筆をしている。

【写真】中島佑気ジョセフ「私服」フォトギャラリー

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