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中島佑気ジョセフが語る400m日本新記録の舞台裏 世界陸上1カ月半前は出場すら危うい「崖っぷち」だった (2ページ目)

  • 和田悟志●取材・文 text by Wada Satoshi

【肺炎にもかかってしまって右往左往】

「本当は2、3カ月行く予定だったのが、1カ月は休まないといけなくなったので、遅れました。いきなりアメリカに行くのも酷(こく)なので、完治までいかなくても『だいたい治った』と思ったところで、日本で一度、体を作り直してからアメリカに渡ることにしました」

 3月から4月にかけてようやく渡米したものの、現地でのトレーニングも思うようなものにはならなかった。

 以前USCで練習をともにしたマイケル・ノーマン(2022オレゴン世界陸上男子400m金メダリスト。日本人の母を持つ)はケガで離脱中。ライ・ベンジャミン(2024年パリ五輪・2025東京世界陸上男子400mハードル金メダリスト)は、USCからカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)に拠点を移していた。現地の状況が、以前とはまったく違っていた。

「前みたいにみんなが揃うことがなかったですし、おまけに最後の1週間は肺炎にかかってしまい、何もできませんでした。もう全然ダメで、右往左往してしまいました」

 本来であれば前年と同様に、4月にカリフォルニア州ウォルナットで行なわれるマウント・サック・リレーでシーズン初戦を迎えるプランを立てていたのだが、出鼻を挫かれた。

 さらに、思うようなアメリカ滞在にならなかったばかりか、帰国してからも災難は続いた。肺炎が癒えて練習を再開してすぐに、今度は右脚のハムストリングスを肉離れしてしまったのだ。

「シーズン前半の最重要大会に考えていた」と言うアジア選手権(韓国・クミ/5月27日〜31日)は出場を辞退することになった。

「アジア選手権をすごく楽しみにしていたので、『なんとか出られないか』ってドクターに聞いたのですが、『これは無理でしょう』って言われてしまいました。ただ、肉離れは焦っても再発につながるので、ゆっくりやろうとも思いました。それでも、日本選手権で勝負できるという確信が自分のなかにありましたから」

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