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【箱根駅伝2026】箱根に向けて駒澤大は現在地を再確認 全日本大学駅伝優勝が箱根への意欲を高める追い風に

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi

「本当によく頑張ったなと思います」

 11月2日に行なわれた全日本大学駅伝で、歴代最多となる17回目の優勝を果たした駒澤大の藤田敦史監督は笑顔を見せた。

 シーズン最初となった10月13日の出雲駅伝では5位と不本意な結果に終わり、そこからの全日本優勝。この巻き返しの要因についてはこう話す。

「出雲駅伝の敗戦から短期間でここまで立て直せたのは、特に4年生の力が大きい。それを学生たちが(自主的に)やってくれたということは、間違いなく箱根に繋がる走りだったと思うので非常にいい大会でした」5区で区間記録を出した伊藤蒼唯(4年)photo by Sports PressJP/AFLO5区で区間記録を出した伊藤蒼唯(4年)photo by Sports PressJP/AFLOこの記事に関連する写真を見る

【國學院第から学んだ区間配置】

 オーダーは、終盤の長距離区間の7区と8区にエースの佐藤圭汰(4年)と山川拓馬(4年)を並べるなど、後半勝負で確実に勝ちに行く配置だった。そのなかでも藤田監督が勝負どころとしたのが、伊藤蒼唯(4年)の5区起用だった。

「伊藤の5区起用というのはある程度早い段階から考えていました。去年と同じ3区という考えもありましたが、これまではつなぎ区間の位置づけだった5区と6区で昨年、國學院が連続区間賞を獲って、勝った姿を見ていました。2区で遅れたうちが最後に追い込んでも届かなかったので、外す区間を作ったら勝てないというのを実感しました」

 1区では小山翔也(3年)が國學院大や早稲田大と1秒差以内で、区間4位。2区の谷中晴(2年)も区間3位で上がってきた中央大や帝京大も含めて4校が3秒差という混戦のなか3位で繋ぐと、3区の帰山侑大(4年)は國學院大と中央大に1秒差の1位でタスキを渡した。

 4区の安原海晴(3年)は区間5位と、トップに35秒離される4位に落ちて不穏な空気も流れたが、5区の伊藤が区間記録を17秒更新する走りで2位の國學院大に52秒差をつけて流れを引き寄せる。そして6区の村上響(3年)の区間2位の走りにより、2位の中央大との差を1分4秒まで広げて優勝を確実にした。

 期待どおりの走りをした伊藤は、レースをこう振り返る。

「4年生が勝負に絡めそうなところでしっかり引き上げる役割は果たしましたが、前半の重要区間の2区で谷中が区間3位で頑張ってくれて、3年生もしっかり繋いでくれたので、4年生の力だけではないと思う。8区に山川がいるだけでもかなり安心感があるけど、やっぱり大学界トップクラスの佐藤が7区に控えている時点で、僕らとしても後輩たちも安心感があったと思います。彼の影響はかなり大きかったです」

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