【大学駅伝】東洋大が18年ぶりに伊勢路を逃す 酒井監督が語る敗因と「新しい東洋をもう1回作り直す」決意 (4ページ目)
【「新しい東洋をもう1回作り直す」】
「日体大さんは関東インカレで入賞した4年生がしっかり最後まとめていますし、中央学院大さんも、吉田君(礼志、現・Honda)が抜けた穴をみんなでカバーしています。両校ともすばらしいパフォーマンスだったと思います。
東洋は留学生もいないチームですから、本当にミスなく8人中8人が走らなくてはいけなかった。ミスが出れば、こういう結果になってしまう。どのチームもしっかりやっていますから、紙一重の勝負で差が出たのかなと思います」
酒井監督は、最後まで競り合ったチームを称えつつ、敗因を振り返った。
全日本選考会は例年6月開催だったが、今回は例年よりも1カ月早い5月24日に行なわれた。近年は蒸し暑さが大敵となっていたが、今回は雨に見舞われたものの、気温は18〜21度と比較的走りやすいコンディションだった。それゆえに大きな波乱はなく、エントリータイム上位のチームが順当に伊勢路行きを決めた印象がある。
東洋大は現在のチーム状態を紐解けば善戦したとも言えるが、結果として力負けしたと言えるのではないか。やはりベストの布陣を築けなかったのが最後まで響いた。
酒井監督が監督に就任した2009年以来、東洋大は昨年度まで出雲、全日本、箱根に皆勤を続けていた。栄枯盛衰とは無縁にも思われたが、ついに連続出場が途切れた。
「三大駅伝に16年間ずっと出てきましたので、全日本に出られないのは初めてですが、これをプラスに捉えたい。新しい東洋をもう1回作り直し、残りの駅伝で勝負できるように立て直していきます。今年の箱根駅伝はシード権ギリギリでしたので、しっかり上位陣に挑めるように選手とともに作り直していきたいと思います」
今季は出雲駅伝と箱根駅伝に全力を注ぐことになる。東洋大は逆境を乗り越えるたびに成果を上げてきたチームだ。今回の敗戦も力に変え、秋には手強いチームに変貌を遂げていることを期待したい。
著者プロフィール
和田悟志 (わだ・さとし)
1980年生まれ、福島県出身。大学在学中から箱根駅伝のテレビ中継に選手情報というポジションで携わる。その後、出版社勤務を経てフリーランスに。陸上競技やDoスポーツとしてのランニングを中心に取材・執筆をしている。
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