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【大学駅伝】東洋大が18年ぶりに伊勢路を逃す 酒井監督が語る敗因と「新しい東洋をもう1回作り直す」決意 (3ページ目)

  • 和田悟志●取材・文・写真 text by Wada Satoshi

【最終組まで望みをつないだが......】

「本来なら3組目か、最終組を走らなきゃいけなかった」

 こう話すのは先陣を切る1組目を任された、4年生の西村真周だ。3年連続で箱根駅伝の6区を走っている実力者だが、西村もまた箱根駅伝後に負ったケガのため4カ月間練習ができず、万全な状態ではなかった。

「最初からきつかった」と言い、何度も遅れそうになった。それでも、「自分の代で途絶えたらいけない」という一心で最後まで粘り組9着でフィニッシュした。

 濱中尊(3年)も自己ベストで10着と続き、1組目を終えて出場圏内の5位と、まずまずの滑り出しを見せた

 しかし、2組目に落とし穴があった。3年の薄根大河がレース中盤に第2集団から遅れをとってしまった。

 実は、薄根は関東インカレのハーフマラソンのレース中に転倒し、途中棄権に終わっていた。その際に腰や膝を痛めたが、その雪辱を期し「絶対に走ります」と酒井監督に宣言してこの選考会に臨んでいた。

「ペースのアップダウンに対応しすぎて、力んでしまい、打ち上がった感じになった。チームに迷惑をかけてしまった」

 薄根は終盤に踏ん張れず33着。記録も30分台と力を発揮できなかった。そして、チームも、出場圏外の暫定8位に押し出されてしまった。

 大エースのいない今季は前半の組で貯金を作っておきたかったが、ビハインドを抱えて後半の組を迎えることになった。

 3組目は、頼れる4年生、網本と緒方澪那斗(4年)が担った。

「最終組を2年生に任せてしまったので、彼らが安心して走れるような位置で渡すことを目標にしました。2組目で8位になったので、自分たちが取り戻そうという思いでスタートしました」

 こう話すのは主将の網本。会心のレースとはならなかったものの、緒方が12着、網本が15着で、ともに28分台で走った。

「最低限粘ることができたと思うんですけど、もっと前に行って、もっとよい位置に上げたかったのが本音です」

 総合順位は8位のままだったが、ボーダーラインの7位・日本体育大まで7秒差とわずかに差を詰めた。さらに、5位の中央学大とは25秒差、6位の日大とは8秒差と、手の届きそうな範囲に3チームがいた。

「日大さんは(最終組に)留学生がいますので、競っている日体大さん、中央学院大さんの2校をしっかりマークして先着してほしいと伝えました」

 酒井監督は、内堀勇と松井の2年生コンビに命運を託した。

「タイム的にもギリギリになると予想していたので、よくも悪くも思っていた通りの場所で来たかなというイメージでした。

 全日本選考会のために関東インカレをスキップしたので、調子はそんなに悪くなかった。自分よりも持ちタイムが速い選手しかいない組を任されてプレッシャーはあったんですけど、東洋大学を自分が背負っていかなければいけないというプラスの気持ちを持って臨みました」

 鉄紺のエースとしての自覚を持ってレースに臨んだ松井は、最終組での逆転を目指し、日体大の選手に常に先行してレースを進めた。

 だが、経験豊富な日体大の4年生、平島龍斗と山崎丞も引き下がらない。松井は自己ベストの28分29秒08で9着と健闘したが、日体大の平島も好走し、1秒遅れの10着と続いた。内堀も28分53秒14の自己ベストをマークしたものの27着に終わり、山崎に先着を許した。

 また、中央学院大も、近田陽路(4年)が14着、市川大世(3年)が21着と大崩れせず。日大にいたっては、留学生のシャドラック・キップケメイが27分29秒15で2着と快走し、冨田悠晟(4年)も22着と粘った。

 これで勝負あり。東洋大は18大会連続の本大会出場とはならなかった。

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