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【大学駅伝】駒澤大・藤田監督「課題は3年生以下」 関東インカレを終えた新チームは「このままじゃいけない」

  • 佐藤俊●取材・文 text by Sato Shun

関東インカレのハーフ(2部)で4年の帰山侑大が優勝 photo by Aflo関東インカレのハーフ(2部)で4年の帰山侑大が優勝 photo by Aflo

【関東インカレはやや物足りない結果に】

「今回の関カレは、昨年よりはちょっといいかなという感じですね」

 関東インカレ(関東学生対校選手権、5月8日~11)終了後、駒澤大の藤田敦史監督は落ち着いた声で、そう言った。

 昨年の関東インカレで、2部の駒大は5000mで桑田駿介(当時1年)が5位入賞を果たしたが、10000m、ハーフマラソンは入賞者ゼロ。「これはさすがにまずい」と、当時主将だった篠原倖太朗(現・富士通)は危機感を覚え、夏は「Ggoat」(駒大の大八木弘明総監督が指導するチーム)の海外合宿ではなく、チームの夏合宿に帯同することを決めた。

 藤田監督も「このままじゃ(箱根の)優勝争いは厳しい」と危機感を露わにしていた。だが、夏合宿でチームが引き締まり、2年生が台頭し、3大駅伝(出雲駅伝、全日本大学駅伝、箱根駅伝)ですべて2位という結果を残した。

 今季は、昨年活躍した2年生が3年生になってさらに成長し、キャプテンの山川拓馬(4年)もロードでの強さを見せてくれるだろう。そんな期待感にあふれていたが、滑り出しの関東インカレはやや物足りない結果に終わった。

「ハーフで帰山(侑大、4年)が勝ってくれたので、それは非常によかったですし、3000m障害で(牟田)颯太(1年)が(5位)入賞してくれたのは、今後に向けて明るい兆しが見えたかなと思います。でも、5000mと10000mですよね。もっと戦いたかったですし、ハーフも山川に勝ってほしかったのですが......」(藤田監督)

 5000mは篠和真(1年)と牟田凜太(1年)が出場。篠は熱中症の疑いで途中棄権し、牟田は16位。10000mは安原海晴(3年)が17位とふるわなかった。ハーフは山川が終始先頭集団で走り、優勝への気迫を見せた。だが、周回コースのラスト1周で國學院大の高山豪起(4年)が仕掛けたのに対し、帰山は反応して逆に高山を突き放しにかかったが、山川はついていけなかった(結果は4位)。

「山川は、箱根、(2月の)丸亀国際ハーフ、(3月の)EXPO駅伝と大外しはしていないんですけど、もうひとつというレースが続いていました。この関東インカレは勝ちきるレースをしないと、周囲から『山川、大したことないよね』と言われてしまう。だから、このハーフに集中して合わせてきましたけど、自分自身をコントロールできなかったですね」(藤田監督)

 山川は途中で腹痛が起きたというが、藤田監督が指摘したのは、その時の対応であり、レースの持っていき方だった。

「強い選手はどんな状況においても冷静に戦えると思うんです。2020年の東京マラソンで大迫(傑)君は差し込みで先頭集団から1回下がったあと、盛り返し、日本記録を出しました。その時のように、レース中に何か起きた際に自分でコントロールしていかないと、勝てないですよ。

 山川はキャプテンになり、そのプレッシャーがあるでしょうし、自分が引っ張っていかないといけないという気持ちも強い。私もそれを重々理解していますけど、彼に求めるところは高い。その高みに届いてほしいなって思うので、厳しいことを言うんですけどね」

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著者プロフィール

  • 佐藤 俊

    佐藤 俊 (さとう・しゅん)

    1963年北海道生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、出版社を経て1993年にフリーランスに転向。現在は陸上(駅伝)、サッカー、卓球などさまざまなスポーツや、伝統芸能など幅広い分野を取材し、雑誌、WEB、新聞などに寄稿している。「宮本恒靖 学ぶ人」(文藝春秋)、「箱根0区を駆ける者たち」(幻冬舎)、「箱根奪取」(集英社)など著書多数。近著に「箱根5区」(徳間書店)。

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