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ウルトラマラソンの世界王者・山口純平に聞く 100kmを6時間余りで走るということ「残り30kmからが本当に長い」 (2ページ目)

  • 佐藤俊●取材・文 text by Sato Shun

【月間走行距離は約1000km

 100kmを走るために、どんな練習をしているのだろうか。

「ベースはマラソンと同じですが、1回1回の走る距離が違います。普段は朝に10km走り、(アパレル会社での)仕事を終えてから夜に20kmから30km程度走る。月間で約1000kmですね。(強度の高い)ポイント練習も、長い距離を走った翌日に入れてセット練習にしたりしています。レースは過酷ですし、練習も大変なので、ケガには注意してケアをしています。ただ、自分は内臓が結構強いので、レース翌日もしっかり食べられるから回復が早い。そこは他の選手よりは恵まれていると思いますね」

 それでもレース終了後は、脚が大変なことになる。特に階段の下りがキツく、手すりを使って1歩1歩ゆっくり降りるほどだ。昨年12月の世界選手権後は脚に力が入らず、キャリーケースを引きながら空港までよろよろ歩いたという。

 そこまでしてウルトラを走るのは、なぜなのか?

「やっぱりゴールした後の達成感ですね。フルマラソンとも比較にならないほど大きいですし、ゴールして良かったなと心から思います」

 山口は笑みを浮かべて、そう言う。なかでも強く印象に残っているのが、昨年末の世界選手権の優勝だ。

「サロマで日本記録を出した時もうれしかったですが、昨年の世界選手権は今までで一番と言ってもいいくらいうれしかったです。なんか、すごいことしたなって思いました(笑)」

 その反響は2位だった前回とは比較にならないほど大きかった。SNSでは日本はもちろん、世界中の人から「おめでとう」と祝福され、フォロワーが一気に増えた。

「多くの人が自分を認めてくれてうれしかったです。僕はプロではなく市民ランナーなのですが、大会や世界選手権で優勝することで日本の市民ランナーや世界のランナーとつながることができましたし、応援してくれる人がすごく増えました。もっと頑張らないといけないと思います」

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