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箱根駅伝2025 駒澤大が戦力充実で上昇機運 藤田敦史監督が口にした「次の一手」を読み解く (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi

【篠原&佐藤の二大エースはどの区間に?】

 前回は集団走のほうが力を発揮できるという見立てから1区に起用された篠原は今季、主将としてチームを引っ張り、「それが自分の自信となって表れて出てきたと思う」と大八木弘明総監督が話すように、さらなる成長の跡を残してきた。単独走でも強さを見せ、全日本7区でも青学大の太田を上回り区間賞を獲得。今回の箱根では2区を希望している。

 またケガで出雲と全日本を回避した佐藤は、前回トップを譲った3区で青学大・太田との再戦を熱望しているが、「万全の状態なら勝てるかもしれないが、今はまだ昨季のいい状態に近づいている段階なので、やってみないとわからない」(大八木総監督)という状況だ。

 そのふたりをストロングポイントとして起用する区間はどこになるのか。また、前述の下級生たちの台頭、なかでも全日本で2区区間17位ながら、12月に10000mで28分12秒02と自己ベストを大幅に更新して自信を取り戻した桑田の起用法も気になる。往路も復路も期待を持てる候補者が揃う状態となっている。

「夏合宿の段階から、出雲と全日本は佐藤抜きで戦わなければいけないことは、チームとしても念頭に置いていました。そのなかで、これまで佐藤の代わりに出走できるというポジティブな発想で成長してきた駅伝未出走の選手たちが、数多く駅伝を経験できたのは非常にプラスに働きました。

 青学大や國學院大に比べれば選手層は薄いかもしれませんが、箱根を走るのは10人。その人数を揃えれば戦うことができます」

 藤田監督は、今季の流れを振り返りつつ、自信を見せる。

 10000mの持ちタイムは、エントリー16名中6名が未出走のため上位10名の平均タイムは29分04秒37で出場21チーム中最下位だが、「ハーフマラソンの平均タイムを見たら上位にくると思うので、そこまで悲観する内容ではありません」と不安要素としては捉えていない。

 果たして、指揮官として二度目の箱根を迎える藤田監督は、どんな区間配置で勝負をかけてくるか。青学大の原晋監督、國學院大の前田康弘監督との腹の読み合いも、注目される。

著者プロフィール

  • 折山淑美

    折山淑美 (おりやま・としみ)

    スポーツジャーナリスト。1953年、長野県生まれ。1992年のバルセロナ大会から五輪取材を始め、夏季・冬季ともに多数の大会をリポートしている。フィギュアスケート取材は1994年リレハンメル五輪からスタートし、2010年代はシニアデビュー後の羽生結弦の歩みを丹念に追う。

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