箱根駅伝2025 駒澤大が戦力充実で上昇機運 藤田敦史監督が口にした「次の一手」を読み解く (2ページ目)
【山でも平地でも強みとなる山川と伊藤の存在】
島子は故障により、箱根のエントリーメンバー16人から外れたが、それ以外は楽しみなメンバーが順当に揃ったと、藤田監督は話す。そしてエントリー発表時の会見では「次の一手を打てるように」という言葉を口にした。
「前回は1区から篠原、鈴木芽吹(現トヨタ自動車)、佐藤圭汰と並べて、私も負けるはずがないと考えていました。ただ実際には、(3区で)逆転されたあとにチームに動揺が走り、追える力がなくなってしまったという課題を突きつけられました。
でも今回は、山の経験者(5区、6区)が平地を走っても戦えるだけの力をつけてきました。平地に山の経験者を回すのか、それとも経験者の強みを生かして山に配置するのか、いろんなバリエーションが出ています。その意味では、今年のチームは読みづらいチームでもあるかなと思います。相手の出方を待って、次の一手を打つことができるかなと思うので、そこを強みとして本番に臨みたいです」
全日本の8区で山川が爆走したあと、藤田監督は「彼を5区ではなく2区で使いたくなってきた」と話していた。その時点で山川自身は5区を志望していたが、12月の会見では希望区間を「2区と5区」と口にし、いずれの区間でも自分の強みを発揮する決意を見せた。
「2区は最後のほうに権太坂があり、20kmを過ぎたら、また急な上り坂が出てくる。自分のなかでは5区という気持ちもあるが、2区の上りでも勝負できるとも感じています。
もし5区なら、2年前に走ったときは、上りで(差を)つめられ、下りで離すというレースになりましたが、今回は逆に前半からつき離すような走りをしてみたい。2区なら最後の上りで勝負をかけるレースをしたいと思っています」
また、1年時には6区で区間賞を獲得しながら、前回はコンディション不良と故障の影響で6区の付き添いに甘んじた伊藤蒼唯(3年)は今季、出雲4区区間3位、全日本も3区区間3位と平地で勝負できるところを見せている。藤田監督からすれば、頼もしい戦力として信頼を置く一方、伊藤本人は箱根の希望区間を「復路9位」と挙げている。
「序盤は下り基調だし、裏のエース区間とも言われているので、他大学の強い選手がたくさんくる。今回は自分自身かなり自信をつけて箱根に臨むことができそうなので、そこでしっかり勝負をしたいと考えている」
もし山川が5区、伊藤が6区となれば、それぞれ1時間8分台、57分台を目指す走りができる。その一方で特に6区には前回区間12位と不本意な走りとなった帰山が、万全なら伊藤と同等かそれ以上の力を有しているため、5区の山川以外の候補も含めて、チームとして最も大きなアドバンテージとなる区間配置の幅に広がりが生まれている。
「篠原と佐藤以外にゲームチェンジができるような選手は多くないですが、山川と伊藤が平地でも走れる力をつけてきました。彼らが次のゲームチェンジをできる存在になれれば、次の一手がまた出てくるかなと思います。その辺りに期待をしながら、というところです」と藤田監督は、策を巡らせている。
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