出雲駅伝で存在感を見せた創価大学 ムチーニが直前で離脱も吉田響や1年生が好走 (2ページ目)

  • 佐藤俊●取材・文 text by Sato Shun

 4キロ越えたところでトップの野村昭夢(青学大・4年)を捉えると、後ろにつくことなく、一気に抜き去り、9人抜きの快走を見せた。

 そのシーンを見た榎木監督は、吉田響の競技者としての凄みを感じたという。

「もう人間離れしていますね。あの気温のなかでも自分のペースをひたすら刻んでいく攻めの走りは彼の魅力でもあるのですが、それを春先からすべての試合で発揮してきたんです。それを駅伝で証明していくのが彼のモチベーションになっているのですが、あの走りは本当にすごかった」

 トップの野村を抜いた時の加速感は、プレスルームが「おぉ」とどよめくほどだった。首を左右に振り、腕を大きく振って走るスタイルは独特だが、それがこの日のロードでは力強く見えた。

 榎木監督も「独特ですよね」と語り、こうつづけた。

「最初から首を振っているので、キツそうに見えるんですけど、それが彼のリズムなんです。今もこれからもそのフォームをいじるつもりはないですね。ただ、いい時と悪い時の動きの違いを彼は求めてくるので、それはしっかり把握しています。今日はすごくよかったですね。むしろ首が振れてきた時は最後にもがけるのでスピードが出るんです」

 吉田響は独特の首振り走行について、こう語る。

「首、振ってます(笑)。でも、それで走れていますし、問題はないかなと思っています。ラスト、首をさらに振って加速する感じはないですが、きつくても、とにかくこらえて走るのが自分の持ち味かなと思っています」

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