次の箱根のエースは誰? 青学・折田壮太、順天堂大・玉目陸ら注目ルーキーが関東インカレで勢ぞろい (4ページ目)
【今回最も注目された駒澤大の桑田駿介】
関東インカレで、今回最も注目されたルーキーは、桑田駿介(駒澤大)だろう。2部5000m予選を8位で通過、決勝では上級生を相手に強気の走りを見せ、13分49秒69の自己ベストで5位に入賞した。
「予選で3000m以降、相手に反応してついていくことができなかったので決勝ではついていく意識でいたんですけど、また離されて......。でも、最後まで粘って自己ベストを出せましたし、国立で満点に近い走りができたので良かったです」
レース後、朴訥とした雰囲気ながら丁寧に取材対応する様が初々しい。顔をくしゃっとさせた笑みは、OBの山下一貴によく似ている。体型や走りもなんとなく似ており、彼も愛されるキャラになりそうだ。
大学の寮では、佐藤圭汰(3年)と同部屋で、日本トップクラスの選手からいろんな刺激を受けているという。
「圭さんは、ケアや練習について常に考えていて、本当に意識が高いです。僕は、たまにSチームで練習したりするんですが、圭さん、篠原(倖太郎・4年)さんを始め、みなさん後半のペースアップに対応し、練習の目的を明確にしてこなしている。世界を狙う先輩たちを間近で見て、自分に取り入られることは吸収していきたいと思っています」
そういう環境にいるだけでは強くならないが、桑田は貪欲なのだろう。すでにいろんなことを吸収し、今回の結果にもその成果が表れ始めている。
「今の目標は、Sチームの先輩の篠原さんや圭さんに近づいて勝負できるようになること。タイムは、5000mが13分30秒台、10000mは27分台が目標です」
秋からは、駅伝シーズンになる。箱根はハーフの走力が求められるが、桑田はロングも問題なさそうだ。倉敷高校時代から距離を踏んでおり、月間700キロ、走っていた。
「駅伝は、走れるなら全部狙っていきたいです。箱根は、どの区間というのはないですけど、往路を走りたいです。2区は、ちょっと難しいかもしれないので、3区、4区あたりで(苦笑)」
駒澤大は、最強とも言われた4年生が今春卒業し、戦力ダウンが否めない。優勝を狙うには、「粘って走れるところが自分の強み」と語る桑田のように粘り強く長い距離を走れる存在が不可欠になる。彼が往路にハマれば優勝争いに食い込む戦略的なオーダーを組むことが可能になるだろう。
「4年間、トラックと駅伝の両方で頑張って、将来はマラソンでしっかり世界と戦っていくような選手になりたいです」
彼のポテンシャルを考えれば、大学時代にもそうなる可能性は十分にある。
著者プロフィール
佐藤 俊 (さとう・しゅん)
1963年北海道生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、出版社を経て1993年にフリーランスに転向。現在は陸上(駅伝)、サッカー、卓球などさまざまなスポーツや、伝統芸能など幅広い分野を取材し、雑誌、WEB、新聞などに寄稿している。「宮本恒靖 学ぶ人」(文藝春秋)、「箱根0区を駆ける者たち」(幻冬舎)、「箱根奪取」(集英社)など著書多数。
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