青学大が箱根連覇へ視界良好!「駅伝で勝つチーム」が個人でも好成績連発で躍動 (2ページ目)

  • 和田悟志●取材・文・写真 text & photo by Wada Satoshi

【一気にギアを上げたエース】

 大会初日の10000mでチームを一気に勢いづけたのが黒田だ。

 黒田といえば、3000m障害で実績があり、高校時代には当時の高校歴代2位の好記録をマークしている。

 青学大に入学してからも関東インカレでは1年時3位、2年時2位と過去2大会で表彰台に上がっていた。ところが、今年は得意の3000m障害を回避した。

「サンショー(3000m障害)は今年でひと区切りしようと思っている。10000mや5000mが学生としてメインで戦っていくところだと思うので、そっちのほうでしっかりチャレンジしていきたい」というのがその理由。青学大のエースとして10000mに挑んだ。

 レースは気象条件にも恵まれ、序盤からハイペースになったが、「タイムは全然意識していなくて、順位を意識して走っていました」と、黒田は上位に位置を取った。

「優勝を狙っていましたが、やっぱり留学生の選手は速かった」と振り返るように、中盤から独走したデイビッド・シュンゲヤネイヤイ(麗澤大3年)と、終盤にペースアップしたスティーブン・ムチーニ(創価大2年)には届かなかった。

 それでも留学生の上位独占を阻み、ともに留学生のハイペースに食らいついた山中博生(帝京大4年)を振りきって、日本人トップの3位に入った。

 記録も27分52秒02の自己新記録を打ち立てて、トップ選手の証とされる27分台ランナーの仲間入りを果たした。大学駅伝界で圧倒的な存在感を誇る青学大だが、意外にも現役大学生の27分台ランナーは黒田が初めてとなった。

 今年の箱根駅伝のあとも決して悪くはないパフォーマンスを見せていたが、駅伝ファンからすれば、箱根2区区間賞獲得者としてはいささか物足りなくも映っていただろう。だが、ここに来て一気にギアを上げてきた。

 レース後、黒田はこんな言葉を口にしていた。

「青学として狙っていくところは、三大駅伝の優勝。チームの目標に向かって、しっかり駅伝で結果を出していくことを目標にやっていきたい。青学は駅伝で勝つチームなので、学生のうちは青学の流れに乗ってやっていきたいと思っています」

 駒澤大のように世界へ羽ばたくために個の強化に力を注ぐチームもあるが、それとは対照的なのが青学大のスタンスだ。それが、黒田の言葉に見え隠れしていた。もちろん個の力を伸ばしていくことに変わりはないが、その視線の先にははっきりと駅伝での勝利がある。

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