箱根駅伝でも「幸運の1万ウォン」をお守りに 國學院大・平林清澄、衝撃の初マラソンの舞台裏 (2ページ目)

  • 和田悟志●取材・文・写真 text & photo by Wada Satoshi

【箱根駅伝総合優勝へ】

 1年目から國學院大の主力として活躍してきた平林も、いよいよ大学ラストイヤーを迎える。

「大雑把な目標ですけど、ラストイヤーはいろんなところで、いろんなカテゴリーの人と勝負したいですね」

 その先にあるのが、箱根駅伝総合優勝というチーム目標だ。

「最終的にそこに辿り着くためのプロセス、通過点だと思っています」

 こう話す平林の顔は、チームを率いる主将としてのそれだ。今回の大阪マラソン優勝も、これから挑む数々のレースも、すべて箱根駅伝で優勝するための糧とするつもりだ。

 上半期に掲げる"出るレースで勝ちきる"という目標を主将自らが大阪マラソンで実践してみせたが、その目標を掲げるのも、箱根駅伝で勝つための準備と言っていい。

「僕がこの目標にしたのは、"上のレベルを目指してほしい"とか"どのカテゴリーでもいいから勝ってほしい"という思いからです。勝ちきることはチームの勢いになります。それに、今のチームは駅伝でトップに立ったことがないので、トップに立つ経験をしておかないと、いざトップでタスキを受けた時に、ビビッてしまうじゃないですか。だから、トップで走ることを経験してほしい。勝ちに行って勝つことが、いかに難しいかも分かってほしいですね」

 主将の意図をチームメイトも汲み取っており、各地の大会で奮闘を見せている。2月11日の宮古島大学駅伝では全5区間で区間賞を獲得し完全優勝。2月25日の犬山ハーフマラソンでは1年生の野中恒亨が優勝している。さらに、3月10日の日本学生ハーフマラソン選手権は2年の青木瑠郁が制した。

 國學院大は、今、勢いに乗っている。

「みんな、楽しいと思いますよ。ワクワクしていると思います。今年のチーム方針は"自分たちが走る環境は、自分たちで作る"と決めています。チームの雰囲気って自分たちで作るべきだし、自分たちでしか作れないと思うんです。

 いろんな意見をいただけるのはありがたく受け止めていますが、まずは、自分がやれるだけ精一杯やる、というのが、僕が大事にしていることです。それをチームとしても共有しながらやっていきたいです。今、できているんじゃないですかね!?」

 今季のチームスローガンは、前田監督とも相談して『歴史を変える挑戦Ep.3』に決めた。Ep.3とあるように、このチームがこの目標を掲げるのは、実は3回目となる。

「シンプルでいいですよね。代々、受け継いできた感じもありますし。このスローガンを僕たちの代で掲げさせてもらえるのはすごく光栄なことですし、うれしいです」

『歴史を変える挑戦』をスローガンとして最初に掲げたシーズン(2010-11年)は、箱根駅伝で初めてシード権を獲得し、2回目のとき(2019-20年)は、出雲駅伝で初優勝を果たし、箱根でも3位に入った。そして3回目の今季、見据えるのは箱根の頂点しかない。

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