箱根駅伝で「新・山の神」候補だった創価大・吉田響 まさかの区間9位に「何度ももうやめたいと思ったほど、今回はきつかった」 (2ページ目)

  • 和田悟志●取材・文 text by Wada Satoshi

【完璧な準備も箱根の山は厳しい...】

 ところが、箱根の山は厳しい現実を突きつけた。

「いつもだったらプレッシャーを力に変えて走ることができるんですけど、今回は逆に、どんどんどんどん期待が重みに変わった。もちろん寒さも原因でしたが、プレッシャーで走れなくなってしまうのは、自分でも人生で初めての経験でした。そういうプレッシャーのなかで走る選手は本当に強いんだと思います」

 序盤は快調に飛ばし、12秒前に出発した帝京大を捉えると本格的に上り始める前に突き放した。傾斜がきつくなってからも区間上位でペースを刻んでいたが、目標としていた区間記録からは大きく遅れ、軽快な足取りとは言えなかった。

 区間新ペースで走る城西大の山本唯翔(4年)には、小涌園前(11.7km)で1分29秒、芦之湯(15.8km)では2分21秒と、国道一号線の最高点を迎える前に個人タイムで大きな差をつけられてしまっていた。

 その後も最高点を過ぎて下りに入っても、勢いを取り戻せなかった。

「どの選手も下りで切り替えてペースアップしていたんですけど、自分は下りだけを見たら区間19位相当でした。まったく切り替えができず、下りがだいぶきつかったです。出雲、全日本と5区で区間賞を獲得していたので、それを自信にしていましたが、平地の作り方と山の作り方は違うのだと再確認できました。完璧な準備をしてきたつもりでしたが、それだけ対策しても、箱根の山は厳しいのだと感じました」

 最後まで苦しい走りになり、山の神になるどころか、区間9位と本領を発揮できなかった。順位もひとつ上げるのが精一杯だった。

 それでも、足を前に運ぶことができたのは、自分を受け入れてくれた創価大の仲間が待っていたから。とくに9区を走る同じ姓の吉田凌は、最初に仲良くなった選手でもあり、チームに溶け込むための架け橋になってくれた。

「何度ももうやめたいと思ったほど、今回の箱根はきつかったんですけど、凌が9区に控えている。しっかり最後まで走りきって、タスキをつながなきゃっていう思いで、なんとか走りきることができました。そういった意味でも凌には感謝しています」

 往路を終えた時点で、目標の3位には6分30秒以上の差がついていたが、なんとか7位に踏みとどまった。

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