箱根駅伝で「新・山の神」候補だった創価大・吉田響 まさかの区間9位に「何度ももうやめたいと思ったほど、今回はきつかった」 (3ページ目)

  • 和田悟志●取材・文 text by Wada Satoshi

【飛躍を遂げていたもうひとりの吉田】

 響の分も挽回すべく、復路では吉田凌の出番だ。

 1年時に8区8位と上々の箱根デビュー。前回は走ることが叶わなかったが、この1年で吉田凌は飛躍を遂げていた。

 昨年2月に先輩の葛西潤(現・旭化成)とともにケニアで武者修行を敢行すると、5月の関東インカレはハーフマラソンで3位入賞と早速結果を残している。

 さらに、編入してきた吉田響に刺激を受けこれまで以上に走り込むと、駅伝シーズンに入り、出雲、全日本と最長区間のアンカーを任されるまでになり、それぞれ区間5位、7位としっかり走りきった。出雲では準優勝のフィニッシュテープを切り、自信を深めていた。

 そして、箱根では復路の要である9区を担うことになった。

9区を走った吉田凌 photo by Kitagawa Naoki9区を走った吉田凌 photo by Kitagawa Naoki 創価大の復路は6区の1年生、川上翔太が区間3位と好走し、2人を抜いて5位に押し上げる活躍を見せた。

「けっこういい流れで来ていたので、その流れに乗ってひとつでも順位を上げることが自分の役目だと思っていました」

 吉田凌がタスキを受けた時は再び7位に下がっていたが、自分の役割をまっとうしチームに勢いを取り戻そうと意気込んで走り始めた。

 しかし、結果は区間15位。

「自分の走りがうまくできなくて、悔いの残る走りになってしまいました」

 14.5kmの横浜駅前までは8位の早大に差を詰められることなく走っていたが、終盤に逆転を許し、順位をひとつ落としてしまった。

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