絶対女王・名城大が富士山女子駅伝6連覇へ 「負けちゃいけない」から「負けてもいい」と意識を変え「過去最強チーム」が誕生 (4ページ目)
【富士山女子駅伝で強さを証明する】
全日本大学女子駅伝は3年生以下で臨んだ大会だった。その優勝メンバーには主将の増渕祐香(4年)の名前がなかった。1年時から3年連続区間賞を獲得した主力のひとりだが、今回は補欠に回った。増渕も状態を上げてきていたが、調子がいいと判断した6人を指揮官は選んだ。
その2週間後の東日本女子駅伝で、東京チームのアンカーを任された増渕は、区間賞の走りで逆転優勝の立役者となった。その際に「全日本を走れなかった悔しさをぶつけた」というコメントを残している。
「彼女は『監督を見返してやる。そういう気持ちで走った』と言っていました。私はそれでいいと思うんですよ。とにかく学生たちが、自分で自分の心に火をつけるぐらいの気持ちがないと。監督という仕事は、そういう雰囲気をつくる、そういう気持ちにさせることが一番だと思う」
こうやって選手のやる気をうまく引き出していることも、名城大が勝ち続けている秘訣なのだろう。
全日本は6区間だが、富士山は7区間と1区間増える。つまりは、全日本を走った6人に加えて、増渕も控えており、強力な7人がそろった。また、「私たちの強みは10人目の選手が過去最強であること」と谷本が言うように、エントリーメンバーを勝ちとったその他の選手も強力だ。他校も力をつけているとはいえ、名城大に隙は見当たらない。名城大の6連覇は堅いというのが大方の見方だ。
「全日本で優勝できたことは自信になりました」と米澤が言うように、何よりも、不安が大きかった全日本とは違って、自信を持って富士山のスタートラインに立てるのは大きい。
「富士山は7人が出走するので、全日本よりも有利。全日本よりも、もっと強さを証明できるレースをしたいと思います」
谷本は力強くこう宣言した。
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著者プロフィール
和田悟志 (わだ・さとし)
1980年生まれ、福島県出身。大学在学中から箱根駅伝のテレビ中継に選手情報というポジションで携わる。その後、出版社勤務を経てフリーランスに。陸上競技やDoスポーツとしてのランニングを中心に取材・執筆をしている。
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