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絶対女王・名城大が富士山女子駅伝6連覇へ 「負けちゃいけない」から「負けてもいい」と意識を変え「過去最強チーム」が誕生 (3ページ目)

  • 和田悟志●取材・文 text by Wada Satoshi

【大号泣の全日本7連覇】

 全日本大学女子駅伝が差し迫った10月中旬になって「みんなの調子が一気に上がってきた」と米田監督は言う。

「春先にレースに出てから、ケガや体調不良があってチームに迷惑をかけていたので、不安や焦りがあった」

 1区の米澤奈々香(2年)は、そんな不安をよそに、先頭と3秒差の2位と上々のスタートを切った。序盤は1区と2区連続区間賞の立命館大に先行を許すも、名城大も数秒差で食らいつく。そして、3区の石松愛朱加(2年)でついに先頭を奪う。5区では、大東大の留学生、サラ・ワンジル(1年)に迫られたが、6区でアンカーの谷本が冷静な走りを見せた。

「付き添いの子に(2位に)30秒差ぐらいと聞いていたのが、意外と近かったので不安もありました(※最後は15秒差に迫られた)。最初に坂があるのでそこまでは後ろの様子を見ようと思って、そんなに速くは入りませんでした。追いつかれても、最後は(相手は)バテるだろうから、勝てると思っていました」(谷本)

 あえて序盤のペースを落として走ったが、差は5秒縮められただけ。「これならいける」と確信すると、下りに入ってからはギアを上げて後続を突き放した。そして、みごとに7連覇のフィニッシュテープを切った。

「下級生の頃とは比にならないぐらいの達成感というか、安堵感がありました」と谷本は優勝の喜びを口にする。「人前であまり涙を出さない」という米澤もこの時ばかりは大号泣。「本当にうれしかったというのが一番の感想です」と話した。

1年の時の富士山女子駅伝で区間新記録を出した米澤奈々香 photo by Nike1年の時の富士山女子駅伝で区間新記録を出した米澤奈々香 photo by Nikeこの記事に関連する写真を見る 不振が続いたシーズンだっただけに、これまでの優勝とは意味合いも大きく違った。

「昨年度までは"負けちゃいけない駅伝"だったが、今季に関しては"負けてもいい駅伝"。苦しかった分、結果的に勝つことができたことの価値はとても大きい。チームはさらに強くなる。そういう力を持っているのを確認できました」

 米田監督がこう話すように、チームは新たなステージに突入したと言えるのかもしれない。

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