「このままじゃ3位以内にもいけない」箱根駅伝優勝を目指す駒澤大・鈴木芽吹主将が抱えていた不安「本当にひどかったので」ミーティングを開いた (2ページ目)

  • 藤井みさ●取材・文 text by Fujii Misa
  • 北川直樹●撮影 photo by Kitagawa Naoki

【勝つために関係ない選手はいない】

 昨年は大エースの田澤、主将の山野力(現・九電工)、副主将の円健介の3人が引っ張るチームだった。今年、鈴木の学年は1年生から箱根を走った選手が鈴木を含め3人。ルーキーイヤーからチームの主力として切磋琢磨してきた選手が多い。

「今年の4年生はみんな力があって、『全員でやろう』というのは常に言っています」

11月半ば、駒大陸上競技部の道環寮にて11月半ば、駒大陸上競技部の道環寮にてこの記事に関連する写真を見る それぞれが自分のやり方でチームを引っ張る気持ちで動いている。鈴木は「今年は4年生全員でつくってきたチームだと思います」と話す。

 副主将の金子伊吹(4年)の存在も大きい。

「僕のコミュニケーションが苦手な部分を金子がすごく補ってくれて、金子のおかげでチームの雰囲気がよくなったと思っています」と鈴木は話す。

 今年から部員一人ひとりの誕生日にプレゼントをあげたり、歌を歌って祝ったりするようになった。

「僕にはできないので、本当にありがたいです」

 コミュニケーションが苦手とは言いつつも、人前で話すことについては「慣れました」とはにかむ鈴木。とくに駅伝の前は、エース格の選手に対しては「他の選手に負けない走りをするように」、それ以外の選手に対しては「エースがしっかり走ってくるから、『絶対負けない』という気持ちを持って走ってほしい」と伝えている。

 他の選手に声がけをしたり、全員の前で話すことで、考えが深まり、自分がどんなチームをつくりたいかがあらためてわかってきた。

「駒澤にいたら、駅伝を勝つためには関係ない選手はいないなと感じています。それをどれだけみんなが思えるかが大事だと思います」

 大八木総監督からは「誰かのためにという思いやり、感謝の気持ちを持っていないと一流の選手になれないし、そういう人間が引っ張らないとチームもよくならない」と言われ、その言葉を大事にしている。

 藤田監督とはチームの運営についてよく話すようになった。「区間オーダーに関しては、藤田さんと総監督でけっこう意見が違うこともあるので、そのつなぎ役もたまにやったりしています」と笑う。

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