日本男子400mの日本記録更新はなぜ生まれたのか ポイントは佐藤拳太郎が今季改良してきた200~300mの走り (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • Photo by Nakamura Hiroyuki

【次なる目標はマイルリレー】

 世界陸上へ出場するにあたって、佐藤はこれまで達成できていなかった「世界陸上の個人レースで決勝に進出と、マイルリレーでメダルを獲得」という思いを持って臨んだ。

 個人では決勝進出の目標を達成できなかったが、もうひとつのマイルリレーのメダル獲得はまだレースが残っている。

 マイルリレーに期待がかかるのは、日本の400mのメンバーにも追い風も吹いてきているからだ。佐藤風雅は、予選第4組で44秒97を出し、「拳太郎さんの記録は見てなかったので、自分の記録を見たときは『ウワーッ、誰よりも早く44秒台に入った。ヨッシャーッ!』と思ったけど、戻ってきたら拳太郎さんが(さらに上の記録を)出していると聞かされてガックリしました」と笑わせた。そして、準決勝では44秒88を出し、自己ベストをさらに伸ばしている。

 さらに中嶋も、決勝進出は逃したものの準決勝で45秒04の自己ベストを出した。

 佐藤風雅は、マイルリレーへの決意を佐藤拳太郎と同じくこう語る。

「(個人戦が終わった時点で)まだリレーのメンバーは決まっていないですが、たぶん僕ら3人は出ると思う。去年の世界陸上オレゴン大会は『決勝に行こう』と話していましたが、今回の目標は『メダル』なので。僕ら全員がその意識を持っているし、日本中の期待も同じだと思うから、絶対にメダルを獲ります」

 今回は日本チームの男子主将も務め、「自分が結果を出して代表を引っ張っていきたい」と決意していた佐藤拳太郎。その日本新の走りを起爆剤として、日本マイルチームの新たな歴史が切り拓かれる。

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