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ドルーリー朱瑛里は「あんなにきれいに走る選手は実業団にもいない」1万m元日本記録保持者がその走りを分析

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 写真●東京スポーツ/アフロ

 昨年8月の全日本中学校陸上競技選手権1500mでは、2位に5秒以上の差をつけて圧勝し、中学ランキングは800m、1000m、1500m、3000mの4種目で1位になっていたドルーリー朱瑛里(岡山県鶴山中→津山高)。全国区の注目を集めるきっかけとなったのが、今年1月の全国都道府県対抗女子駅伝で3kmの中学生区間を走り、17人抜きをしたことだった。

体をうまく使えていると絶賛されたドルーリー朱瑛里の走りに今後も注目体をうまく使えていると絶賛されたドルーリー朱瑛里の走りに今後も注目 そしてこの春、高校に進学。インターハイに初出場して、8月2日から札幌市で行なわれた全国大会では1500m決勝で、カリバ・カロライン(神村学園3年)とジェシンタ・ニョカビ(白鵬女子2年)に次ぐ4分15秒50で3位に入り、その記録は田中希実(当時・西脇工)が持つ高校1年最高記録を0秒05更新するものだった。

 このレースで初めてドルーリーの走りを直接見たという1万m元日本記録保持者の川上優子氏(1996年アトランタ五輪7位、2000年シドニー五輪10位/キヤノンアスリートクラブ九州アドバイザー)は、こう感想を述べる。

「高校1年ではもう頭ひとつ抜けた感じで、走りの内容も実業団選手みたい。体の使っている箇所も間違いないので、他の選手と比べると圧倒的だと思いました。ただ、厚底シューズで多少サポートされる駅伝時の走りと比べると、トラックでは少しこぢんまりとした走りになっていると感じましたね」

 1月の都道府県駅伝はテレビ観戦したというが、そのドルーリーの走りに衝撃を受けたと話す。

「すごいと思ったのは、真上から足を落として接地した時の骨盤のポジションで、重心の真下に完璧に乗っていました。あとは、そのタイミングでの上半身との同調ですね。腕振りで肘の引きが強くても上半身がブレないので、肘を引いた側の腰の捻転で加速していました。さらに、肘が戻るタイミングで生まれるエネルギーがストライドにもうまくつながって、どんどん加速する動きができているイメージです」

 元選手らしい視点から、ドルーリーの体の使い方のうまさについてこう続ける。

「(骨盤が)ハムストリングなど体の後ろ側の筋肉を最大限使えるようなポジションになっているんです。普通の選手なら腹筋や背筋の筋トレを一生懸命やって作り上げなければいけない骨盤の傾きも、生まれつきなのか、そのポジションにハマっている。他の選手が10だとすると、彼女は7くらいで走るエネルギーを生み出していると思います。日本では速い選手でも少し癖があるけど、あんなにきれいに走る選手は実業団にもいないし、今までの日本人にはいないタイプだと思います。ケニア人やエチオピア人とも違うし、強いて言えばポーラ・ラドクリフ選手(イギリスの女子選手/2003年にマラソン2時間15分25秒の世界記録を出し、2019年10月まで破られなかった)に似ている感じですね」

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