ドルーリー朱瑛里は「あんなにきれいに走る選手は実業団にもいない」1万m元日本記録保持者がその走りを分析 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 写真●東京スポーツ/アフロ

 今回のトラックのレースでも、その長所はしっかり見えていたという。

「ロードより地面の反発が少ないなかで、少し力技みたいな感じの走りにはなっていましたが、スロー映像で見ると接地も正確だし上半身の動きも同調できていました。ただ、競り合う相手がいなかった中学時代とは違い、留学生など強い選手がいるなかでのレースでは、気持ちが早るというか、力むところが少しあると思います。でもこの先2年生、3年生と(レース展開などにも)慣れてくるはず」

 自分自身の経験も踏まえ、体の成長の変化とともに起きる女子陸上選手としての走りの変化についてはこう話してくれた。

「 800mや1500mなどスピードを追う走りに関しては、体が中学生の頃とそれほど変わらなくて筋力が追いついていない感じでしたが、そこはこれからですね。ここからさらに記録を伸ばすとなれば、当然筋力で補わなければいけなくなりますし、女性として体が変わってくるので、その成長を受けてうまくやっていかなければいけない。成長していくなかで、股関節の硬さが出てきたり、可動域に関して言えば、今までは子供のしなやかさだったのを強いしなやかさに変えて、体をうまく、正しく使えるようにしなければいけないと思います」

 そう話す川上氏は、ドルーリーが将来を期待できる大器だからこそ、無理はせずに自分の成長スピードや筋トレのペースを合わせていってほしいとエールを送る。

「女性の場合は、体の変化でエネルギーを使うようになるから、練習とその部分をうまくやっていくことが必要ですね。これからも記録を追いたいとは思うけど、今でも十分に高校のトップレベルなので記録より、まずは自分の体の成長に興味を持ってほしいと思います。高校を卒業してから、成長した体をうまく使って記録を意識するくらいでいいのではないかと思います。

 そう考えると彼女の場合、地元の高校を選んだのはいい選択だったと思います。練習も自分のペースで組み立てられるし、自分の成長を見ながらトレーニングを変えたりもできるので。まずはクロスカントリーをやって、世界クロカン出場を目指して欲しいですね。クロカンを走りきれるようになれば、筋力が十分ついているということですし、トラックの記録も上がっていくと思います」

 これまで日本にいなかった走りをするドルーリーだからこそ、今後も大事に育ってもらい、日本を代表する陸上選手になってほしい。

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